1月8日早朝、ウクライナ航空の旅客機がイラン・テヘランのホメイニ国際空港を離陸してから7分後に墜落、乗員乗客176人全員が死亡するという事件が起きた。当初、イラン政府は事故だと主張していたが、11日になってイラン革命防衛隊(IRGC)のサラミ司令官がミサイルで誤射したものと認め謝罪した。

 翌12日に米ニューヨーク・タイムズが公表した7分間の再現映像によれば、午前6時12分に離陸した同機は3分後にミサイル攻撃を受けていた。

 今回の誤射について、イラン政府はIRGCの精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官殺害という米国の行動によって緊張が高まったために起きたと説明している。だが、誤射の犠牲者に多数のイラン人が含まれていたため、イラン国民の怒りは激しく、追悼デモが拡大するなど反政府の動きは本格化している。イラン政府にとって致命的となるリスクが出てきた。

イラン政府はウクライナ航空の旅客機を誤射したと発表した(写真:ZUMA Press/アフロ)
イラン政府はウクライナ航空の旅客機を誤射したと発表した(写真:ZUMA Press/アフロ)

イランを窮地に陥れたグローバルな監視体制

 墜落当初、イラン政府が事実を隠蔽したのは夜明け前というタイミングだったことに加えて、撃墜高度が地上8000フィートと高かったからかもしれない。いずれにせよ、IRGCが事実を認めるまでに3日もかかったことは、指揮命令系統の混乱を意味している。

 一方、米国や英国、カナダなどの政府はミサイルによる撃墜との見方を発表、西側メディアもミサイルが旅客機を撃墜する映像や、燃えながら木っ端みじんになって落下する旅客機の映像をリアルタイムで放映した。イランのような西側メディアの活動が制限される国であっても、この手の事故では事実を隠せないほどの監視体制がグローバルレベルでできている。

 ちなみに、ニューヨーク・タイムズの映像はフランス国立宇宙センター(CNES)とエアバスによる共同組織のデータが元になっている。この組織こそ、2019年まで米シンクタンクが発表してきた北朝鮮の核ミサイルサイトの動向を映した映像の提供元である。

 米国を中心とした資本主義陣営のグローバル管理は、衰えているどころか、今も発展を続けていることがわかる。

続きを読む 2/4 ドローン殺害を支持しつつあるワシントン

この記事はシリーズ「酒井吉廣の「2020年米大統領選」〜トランプ再選を占う」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。