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合理化と逆行する計画

 合理化と逆行する計画の例もある。次期型「マーチ」は内装の色に合わせて、部品の色も数色用意することになった。そのために内装材メーカーの中には、以前よりも部品の種類が増え、効率が落ちたところもある。

 「今後はこの仕事をやめることも考慮に入れないと」(首都圏の2次下請け金属プレス業者)

 大手部品メーカーの仕事を請け負うこの会社はここ数年間、赤字が続いている。自動車以外の仕事を増やし何とか食いつないでいるのが現状だ。納入先である大手部品メーカーの下請けでは01年秋、1社が廃業し、別の2社も廃業同然の状態に陥っているという。

 大手部品メーカーはNRPのスタート直後からこのプレス業者に対し、NRPの削減目標と同様の原価低減を要求してきた。プレス業者も当初は要求に応えていたが、00年秋の交渉で相手の要求を断った。

 取引は現在も続いている。しかし、01年秋も1次部品メーカーから原価低減要求が来た。これ以上、要求に応えても立ち行かなくなることは目に見えている。かといって、ここで再度断れば売上高の6割を占める日産向けの仕事を失いかねない。プレス業者社長は苦渋の決断を迫られている。

 ゴーン氏は「2次サプライヤーがウィン・ウィンの関係になれるかは1次部品メーカーの配慮次第。現実にはそれが徹底しているとは言えないが」と話す。付加価値が低く、時には1個数十円という安い単価で仕事をする下請けメーカーにとって1次部品メーカーからの原価低減要求の達成は非常に難しい。2次サプライヤーの中には経営が限界近くにきているところも少なくない。

(本記事は日経ビジネスの2001年11月19日号の記事を再編集したもので、登場する人物の肩書、企業・組織名、資本・提携関係などは原則として取材当時のものとしています。次回に続きます)

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