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「ゴーンさんも量を約束して」

 だが、華々しい成果の裏側でサプライヤーの不満と不安がじわじわと募りつつある。

 「ゴーンさんは、我々には原価低減のコミットメントを要求しておきながら、クルマの生産台数についてはコミットメントしてくれないのだろうか」(内装材メーカー社長)

 部品メーカーからの不満はまず、納入価格を下げたにもかかわらず、一向に日産向け部品の生産数量が増えないことにある。

 別の駆動系部品メーカー社長は「数量について確約を取っておくべきだったよ」と冗談ともつかぬ調子で言う。

 NRP以前なら、仮に3年で20%という原価低減要求があっても1、2年で数量などの実情に即して見直されるのが通例だったという。こうしたなあなあの関係が日産グループ凋落の一因だった。旧弊を否定すること自体は正しい判断だ。

 とはいえ、部品メーカーにしてみれば、価格の低下を合理化だけで捻出するのは至難の業。量の増加がないと固定費負担が重くなるばかりだ。

 本来は取引先の集約によって数量効果が出るはずだった。日産は部品サプライヤーの数について1999年10月の1145社から2001年10月には750社へ減ったと発表している。目標は600社だがNRPの原価低減要求を受け入れている主要サプライヤーが多く、思ったように購買を集中しきれていない。日産副社長の小枝至氏は「既存の部品をモデル途中で変えるのは難しい。集中購買の効果が出るのは新車投入が続く01年から02年にかけて」と話す。

 加えて、01年6月に発売した新型「スカイライン」のように、月間販売目標を下回っている車種が少なくない。シェアは下げ止まっただけで、台数は増えない。それでも、部品メーカーには「計画通り」を強く求める。

 日産は約1100億円かけて米ミシシッピ州に新工場を建設中。03年夏からSUV(スポーツ多目的車)などの生産を開始する予定だ。北米向けセダン「マキシマ」も03年の新型投入に伴い現地生産に切り替わる。合わせて年産約20万台が輸出から現地生産に切り替わるとの見方もあり、よほど国内販売が伸びない限り生産量の増加は難しい。03年度から3年間で、全世界で100万台販売台数を伸ばす計画を打ち出しているが、部品メーカーにとっては「遠い約束」でしかない。