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大成果の陰に副作用 疲弊する部品メーカー、技術劣化も

 そもそも日産は本当に復活したのか。ゴーン氏が力を入れる購買改革では、サプライヤーとウィン・ウィンの関係を築けているのか。

 「01年度は部品メーカーの中で赤字に転落するところも出てくるのではないか」(フジユニバンスの社長、鈴木一和雄氏)

 フジユニバンスはマニュアルトランスミッションや4輪駆動車の駆動力を配分するトランスファーのメーカーだ。日産自動車グループ向けの売上高が全体の約80%を占め、発行済み株式の31.1%を日産が保有する、典型的な「ケイレツ」企業である。

 ゴーン氏は部品メーカーの会合などで、このフジユニバンスの名前を日産リバイバルプラン(NRP)において日産とサプライヤー(部品・素材メーカー)がウィン・ウィンの関係を築けたケースとしてよく挙げる。

 1999年3月期、フジユニバンスは日産の業績悪化と軌を一にして7億円の経常赤字に転落していた。しかし、NRP後の2001年3月期は12億円の経常黒字へとV字回復に成功している。

 回復の背景には、早期退職によって従業員を約1割削減、国内3工場のうち1工場を閉鎖しインドネシア工場へ生産を移管するなど、厳しいリストラがあった。NRPがなければこうした社内改革も進まなかったに違いない。

 しかし、社長の鈴木氏はこれを真の改革とは見ていない。00年までの米国の好調が回復を大きく後押ししたと見るからだ。「01年度、我が社の収益性は大きく落ちている」。日産自身は最高益にもかかわらずである。

 鈴木氏は自嘲気味にこう語る。「価格は世界標準になったが、我が社の販売や購買はそこに達していない」。日産のコスト削減要求をのんできた価格と、まだ社内改革が道半ばの販売や購買の間には埋め難いギャップが横たわっている。

 ギャップがあるうえ世界不況の波が容赦なく押し寄せる。鈴木氏が特別、NRPに否定的なわけではない。むしろ日産との関係だけに頼って成長してきたこれまでの戦略を改め、世界規模のサプライヤーに変身しようと改革を進めている。その鈴木氏でさえ先行きに不安を覚えているところにNRPの意外なもろさが潜んでいる。

 日本中が目を見張った日産の購買費削減策。NRP1年目は2870億円を記録、V字回復の原動力となった。息切れするかもしれないとの一部の見方をよそに、2年目も快走を続けている。02年3月期は当初設定した2年目の目標値14.5%を大きく超えて18%に達する見込みだ。03年3月期までの3年間で20%削減するとの目標へあとわずかとなった。