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日産株主の不満を抑える狙い

 日産の株主が不平等に怒れば、こう弁明できる。「ルノー・日産BVは中長期の戦略立案や商品・部品の共通化を検討するのが役割で、日産・ルノーは対等に運営に参画するのです。ですから日産の主張も反映できるのです」

 戦略立案などを担う新会社の役割は、今あるグローバル・アライアンス・コミッティー(GAC)と変わらない。ゴーン氏が強調するように、持ち株会社の傘下に両社が事業統合するといった計画は今のところ存在しない。ならば戦略立案組織はGACのままでも構わないはず。それでも新会社を作ったのは、日産株主の不満を抑える狙いが透けて見える。

 「対等」とはいえ、新会社の社長はシュバイツァー氏、副社長はゴーン氏。仮にゴーン氏を日産の人間と数えてもルノー主導ということになる。オランダの制度を活用して敵対的買収を避けるのも、うがった見方をすれば、おいしくなった日産は手放さないというルノーの意思の表れと取れる。

 では、日産の体力はルノーに逆出資できるほど回復したのか。収益力向上や有利子負債の削減は順調だが、企業の価値を示す時価総額は、相場全体の下落が響いた面もあるが、むしろ減っている。

 01年9月中間期の営業利益変動の内訳を見ると、増益要因は原価低減が1010億円、為替の円安効果が680億円だった。逆に販売台数減、商品力向上、販売費増などで1150億円の利益圧迫要因が発生、円安効果がなければ営業減益だった。CFO(最高財務責任者)のティエリー・ムロンゲ氏は「日本経済が弱含みだから円安になった。逆に円高なら国内販売に好影響があったはず。単純な議論は無意味だ」と話すが、利益成長が安定軌道に乗ったとは言い難い。

 「対等」と強調するあまり、不平等さと不自然さがかえって目につく「提携強化」。日産内部からも「今回の1500億円の出資はほとんど意味はない」(幹部)との声が聞こえてくる。