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商品が売れない限り復活はあり得ない

 いくら大規模なリストラをしても、商品が売れない限り復活があり得ないのは、誰の目にも明らかなのだ。

 リバイバルプランには、直営販売会社の売却や販売拠点の削減などによる販売の効率化も盛り込まれたが、どうやって商品力を高め、販売数を増やすかについては先送りされた。おそらくはこれからペラタ氏らがルノー流の手法を持ち込むことによって、商品力の強化に努めるのだろうが、その成果を生かしたクルマが市場に出てくるのは2年も3年も先の話だ。

 「こんな数字が続いたらどうするんですか」。99年11月4日の新車発表会では、販売統括副社長の森山寛氏に記者から無遠慮な質問が飛んだ。こんな数字というのは、10月に日産の販売シェアが16.7 %と、単月で過去最悪を記録してしまったことを指す。「そうなったらこういう場所に、私の姿はないでしょう」。森山氏ははぐらかしたが、今の日産に販売が突然上向く要素は見つけにくい。

 ある日産直営販売会社の社長はつぶやく。「ああいう購買方針を打ち出した以上、関係会社や取引のある部品メーカーなどが従来通りに日産車を買ってくれなくなるのは明らかだ。数年先には安くて良いクルマが出るのだろうが、それまでは国内販売の苦戦が続くはずだ」。

 それでも日産には、リバイバルプランで描いた通りに走り続ける以外に道はない。まずはサプライヤーの協力を得て、コスト削減によって出血を止め、血が止まっているうちに販売を回復させる──。綱わたりをしながらの日産再生は、今まさに始まったばかりだ。

(本記事は日経ビジネスの1999年11月15日号の記事を再編集したもので、登場する人物の肩書、企業・組織名、資本・提携関係などは原則として取材当時のものとしています。次回に続きます)

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