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系列解体は両刃の剣

 自らの生き残りのために、資本系列の有無を問わず発注先を決めようとする日産と、日産に依存しない経営を目指す部品メーカー。その両者の思いが交錯するところで、日産グループという巨大な系列構造は一気に解体に向かい始めたのだ。

 だが、系列の解体によって、ゴーン氏は大きなリスクを抱えることにもなる。というのはビジネスライクな関係を口にした以上、日産としてもコスト削減の達成を系列メーカーに頼ることはできないからだ。

 仮に重要な部品分野でリバイバルプランのコスト削減計画に乗ってくるサプライヤーがどこも現れず、最後に無理を聞いてくれる存在だった系列メーカーも去ってしまえば、リバイバルプランのコスト削減計画は画餅に終わりかねない。

 事実、ある系列メーカーの首脳はこう断言する。「2000年度に8%の原価低減ができる製品と無理な製品を峻別しようと考えている。日産のコスト削減にはできるだけ協力するつもりだが、こちらが赤字になってまで受注する気はない」

 独立系部品メーカー幹部も「リバイバルプランのコスト削減目標に乗るかどうかは他社の動きも見て考えるが、そう簡単には決められない」と言う。この幹部が懸念するのは、1つには、日産に20%のコストダウンを約束すると、ほかの自動車メーカーからも同じ要求を突きつけられ、取引額全体の低下につながりかねないことだ。そしてもう1つは、日産が思惑通りに復活を果たせなかった場合、ゴーン氏が口にする取引量の増加もままならない。つまり「ゴーンは日産を本当に再建できるのか」という根源的な疑念だ。

 「取引するタイヤメーカーの数を絞るといっても、本当にできるのかな」。リバイバルプラン発表から1週間たった1999年10月26日、東京・臨海副都心のライブハウスで開かれたマスコミ向けパーティーの席上、タイヤ最大手、ブリヂストン社長の海崎洋一郎氏は、取り囲む記者にこう語った。

 確かにリバイバルプランは産業界に大きなインパクトを与えたが、部品メーカーの中にはその達成を懐疑的に見る向きがあるのもまた事実だ。

 原価低減を達成して、日産に選ばれた企業は将来の取引拡大が約束されるとはいうが、それも日産の復活があればこそ。その復活の一里塚となるべき購買コスト削減で部品メーカーの協力が得られなければ、リバイバルプランは根底から瓦解してしまう。その時、系列メーカーに頼ろうとしても、自立を果たした強いメーカーからは見捨てられる可能性もあるのだ。