木谷:まずはテストを繰り返して、データが溜まって、精度が上がってくるまでにたいへんな時間がかかる。次に、データが取れても、今度はそれをモデルとしての精度の引き上げにつなげることが必要です。それでようやく、CAEのソフトに反映して、と。

そうか。最初はモデル自体が現実とかなり乖離していて、仮説を検証するだけでも大変で、それをソフトに入れて「こうすればこうなる」と、画面上でわかる状態に持っていくとなると……確かに時間も手間も膨大に必要でしょうね。

木谷:そうそう。

投資から16年後発売の商品でようやく花開く

デジタル化、MBDって、「お金があれば機材を買ってきてポンと入れたら使える」というモノではない。現物で「擦り合わせ」する手間とコストがなくなるかと思ったら、最初に現物とシミュレーションの擦り合わせがいるわけですね。

木谷:マツダがMDIで行ってきた一連の投資は1996年から始めたわけですが、そこからずっと人とおカネをつぎ込み続けて、やってきたことが本当に製品に反映できたのは、2012年から商品化した「第6世代」の開発から、でしょうね。シミュレーション精度を上げて上げて、開発で言えば08年ぐらいから、デジタルワールドとフィジカルワールドがやっとつながって、ついに花開いた。

ほぼシミュレーションと相似というか、ほぼ同じ結果が出るよねというところまでたどり着いたのが、08年なんですか。10年以上かかっていますね。

木谷:シミュレーションと実際の実験が合うようになってきて、初めて衝突実験とか、試作車の台数が落とせるようになってくるわけです。このグラフはちょっと古いけど……。

1996年の台数を100とすると、03年には6割も削減した。その後の凸凹は?

木谷:衝突試験も種類が増えたり、内容が変わったりしますから、そうなったらまたシミュレーターを使ってもう一度計測して、コリレーションを取って、ソフトを修正して、となりますが、手間は増えているけれど台数は増えてはいない。ちなみに、試験は実車で確認しないと認可が受けられませんので、ゼロにはできません。

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