全1765文字

 続いては「後生鰻(ごしょううなぎ)」という話ですね。

 信心深い、まじめなご隠居さんがいました。いつも南無阿弥陀仏を唱えていて、殺生を嫌う、生き物を殺したくない人です。その恩恵で長寿だともいえるわけですね。

 その人が浅草の川っぺりを歩いていると、うなぎ屋さんがうなぎを割こうとしていた。

ご隠居:「殺生しちゃいけない、生き物を殺しちゃいけない」
うなぎ屋:「お客様の注文のかば焼きのためです」
ご隠居:「何がかば焼きだ、お前、うなぎだってかば焼きになるために生まれてきたんじゃないだろう。よし、俺がそれを買って、前の川に逃がす。いくらだ、2円か」

 と、ご隠居さんはうなぎ屋から2円でうなぎを買って、ポチャンと前の川に逃がす。そして「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、ああ、いい功徳をした、いい後生をした」と自分は納得する。

 毎日毎日、こうやってもらえると、うなぎ屋は喜びますよね。何もしなくても2円でうなぎを買ってくれるわけだから、うなぎ屋はもうかる。

 ところがある日を境に、このご隠居さんがぱったりと来なくなる。うなぎ屋がどうしたんだろうと思っていると、間を置いて、ご隠居さんがやって来た。

 それを見たうなぎ屋が「おい、あのご隠居、久しぶりに来たからうなぎを出せ」とおかみさんに言うと、「うなぎなんかないよ、お前さん。ご隠居さんが来ないから、仕入れてないよ」と答える。

 じゃあ、何か生き物をということで、ちょいと残酷なんですが、おかみさんがおんぶしている赤ん坊を見て「よし、この赤ん坊だ」と、ここからはギャグなんですけど、赤ん坊を割き台に載っけて割こうとする。

>>有料会員にご登録いただくと、続きのテキストとともに、談慶師匠の名調子を動画でご覧いただけます。