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「I think」の西洋コメディーと「他者目線」の落語

 私は西洋のスタンドアップ・コメディーにもたまに参加させてもらいますが、これは「I think」の世界です。「俺はこう思うんだ」「夕べ、雨が降って俺はしみじみこう思った」みたいな話をする。これはこれで素晴らしいんです。デカルトですね、「我思う、故に我あり」。自分というものは絶対外せない、まず自分ありき。これを訴えたからこそ、西洋文明は発達しました。

 シェークスピアもすごい作品を残していますが、やはり先ほど言ったように「私はこう思う」という自分の世界観が描かれている。これはこれで、もう見事なものです。

 一方、相手の世界観を取り込んでしまっている落語は、要するにドローンですね。俯瞰(ふかん)で見ている。「お前さんはそう言うけれども、こっちからはこう見えるぜ」と、必ずペアなんです。自分のほかに、与太郎がいて、ご隠居さんがいて、八っつぁんがいて、熊さんがいる。落語は必ず「他者目線」でできているんです。まさにこの他者目線をテーマにしているのが、「一眼国」ですね。