古典落語にはビジネスの様々な場面で役立つエッセンスがあることをご存じでしょうか。ただ聞いているだけでも良いものですが、コミュニケーションの取り方や部下の育て方など、仕事に応用できる要素も満載です。このコラムでは、立川談慶師匠に、古典落語の名作から学ぶ、仕事と人生に役立つ“哲学”を語ってもらいます。落語のあらすじも分かる談慶師匠の名調子を、ぜひ動画でお楽しみください。
シリーズ
ビジネスに役立つ落語

完結
10回
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上司の教えをうのみにするより、だめさ加減に気付け
「長短」の落ちは「ほうらみろ、だから教えないほうがよかった」。世の中、情報過多です。この教え過ぎの世の中に対して、教えないほうがよかったと言い切っちゃう。これは、教育論にもつながると思うんですね。
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人生の「潜伏期間」は必ず実を結ぶ、楽してもうけるな
今回は「死神」。これも深い話です。特に短い落語、くだらない落語ほど、実はものすごく深いテーマが描かれている。この落語のテーマを言ってしまうと、楽してもうけるなということになりますね。
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比較から始まる不幸、ちょっと上から目線が気持ちを楽に
やっぱり人間は、どうしても比較してしまう。他人と比較するから、一生懸命やるという気概も生まれます。ただ、もやした気持ちが澱(おり)となってマイナスの形にたまっていけば、相手を憎んだり、相手をディスったりすることになる。
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上司の小言はプレゼント、受け入れると後でいいことが
「ねずみ穴」のテーマは小言です。特に身内からの小言は、いったん受け止めると後々、いいことがある。会社の上司も身内です。同じ釜の飯を食べる仲間として、上司が言うことは、いったん受け止めてみたらどうでしょう。
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非まじめというポジションを「後生鰻」に学ぶ
ネット上にはフェイクニュースも含めて極端なニュースが出てくるわけです。行き過ぎたものに惑わされてはいけない、ということを落語の「後生鰻」から学んでいただきたいと思っています。
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上司から認められるむちゃぶり返しを「紺屋高尾」に学ぶ
相手の「むちゃぶり」には「むちゃぶり返し」で応える。そうすれば「あっ、こいつすごいな、俺の想定よりも上をいくな」と思い、上司や相手から一目置かれる存在に必ずなれます。自分もこのむちゃぶり返しで、談志に認められました。
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他者目線とプラスの意味の忖度を「一眼国」に学ぶ
ビジネスには必ず相手がいます。相手の気持ちを「忖度」する。これは決して相手に対して卑屈になることではありません。エチケットとしての想像力です。会話の主導権を握るためには、想像力を働かせることが大事だと、落語の「一眼国」は…
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「百年目」に学ぶ部下を叱る時の「ターニングポイント」
部下を叱る時など、どうしても先に言いたいことを言ってしまいがち。そうではなく、話の途中にターニングポイントのせりふを入れ言いたいことは最後に言う。そうすることでより深い人間関係が構築できるという見本が落語の「百年目」です…
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「道具屋」 与太郎に学ぶ「常識転覆力」と「愛され力」
与太郎さんが出てくる落語を「与太郎噺」と言いますけれども、代表的な落語に「道具屋」があります。ただこの与太郎さん、立川談志、私の師匠は、彼はばかじゃないと、歴史的な定義をしました。ばかじゃない、非生産的なやつだと言ったん…
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「蒟蒻問答」 上手に「間」を取って会話の主導権を握る
古典落語にはビジネスの様々な場面で役立つエッセンスがあることをご存じでしょうか。ただ聞いているだけでももちろん良いものですが、会話の仕方や部下の育て方などに応用できる要素が満載です。
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