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「ポケモンGO」が人々のヘルスケアに寄与?

 ヘルスケア分野も同じように、データの活用で大きく変わります。

 これまで日本のヘルスケアは、「感染症対策」「病院単位の手厚いケア」「若年世代を支える」ということを重視していました。

 それがこれからは「ライフデザイン重視」「世界と連携した、時・場所を選ばないサポート」「立場や健康状態を問わず、あらゆる人にヘルスケアが行きわたること」が目指されることとなります。

 国の取り組みも活発化しており、現在、厚生労働省では「データヘルス改革推進本部」を設置し、様々なプロジェクトを動かしています。全国のネットワークを構築し、医療サービスの最適な提供や、国民の健康確保のためのビッグデータの連結・活用、テクノロジーによる医療・介護の充実を図ろうというものです。

 ヘルスケアを通して、人間の「生」のクオリティーを高める仕組みづくりが進みつつあるわけです。

 この分野では産学連携も盛んです。

 我々は「PeOPLe(Person centered Open PLatform for well-being)」というコンセプトを軸に、データを活用した様々なプロジェクトを進めています。

 例えば、スマホゲーム「ポケモンGO」で知られる米ナイアンティックは、ユーザーの行動を、ヘルスケアと結びつけることを考えています。「ポケモンGO」で遊んでいると、人は明らかによく歩くようになります。これを健康増進の一助にしようというのです。

 また大阪梅田駅周辺の大規模再開発「うめきた2期」では、ライフイノベーションを軸に、農業、スポーツ、観光など、様々なアプローチから新しい生き方を創出するプロジェクトが始まっています。

 ほかにも宅配大手のヤマト運輸では、既存の宅配ネットワークを活用して、過疎地に住む高齢者を見守るようなサービスにも挑戦しています。地域の持続可能性という観点から、人々の生き方に寄り添っているわけです。

 今も、そしてこれからも、最もヒト・モノ・カネ・情報が集まることになる医療分野で、データ駆動型のイノベーションを達成することが、日本の社会課題解決への近道であり、生きる道でもあると思っています。

 そして医療・ヘルスケア分野の成果を、あらゆる領域へ広げていく。目指すは、データが共有され、すべての人が自由な創造や行動を楽しめる社会です。これまで人が実現しようとしてきた目標は、要約すれば「いのちをつなぐ」ということでした。けれど私はこれを、「いのち輝く」に転換できれば、人類に大きな価値をもたらせるのではないかと感じています。

 今回、例に挙げたプロジェクトや事業のすべてに私は関わっています。だからこそ、本当に大きな変革が既に始まっていることを、強く実感しているのです。これからしばらく、データが人間中心の社会を実現していく「データ・ルネサンス」の理論と実践を、つぶさにご紹介していきます。