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 最後に絵の値段の話をすると、たぶん今、日本の美術で最も国際的な評価の高い美術品は浮世絵です。歌麿や写楽の初版刷りは1枚数千万円するものもあります。

海外の美術品しか買わない日本のコレクター

田中:今になって浮世絵の価値をみんな分かってきたということですね。

山本:そうです。

山本:中国は古美術の方が現代美術より高いんです。一般的にヨーロッパもそうなんですよ。現代美術が古美術より高いのは日本だけ。

田中:ゴッホの「ひまわり」を50億円以上も出して買ったようなバブルの時代に、ボストン美術館にある雪舟の水墨画を買い戻していたら、現在の日本美術のマーケットもずいぶん変わっていたと以前、おっしゃっていましたね。

山本:そう。一般的に言うとポピュリズムって価格です。今のコレクターたちは海外のものしか買わない。自国のものを支えようという発想はありません。みんな最終的に高い価格が付いたものに反応するだけなんです。美術品は不動産と一緒で、トップの値段が決まるとそれ以下が決まる。雪舟が100億円になると、日本の美術品全体の相対評価も上がる。それをしなかったせいで、今は日本の古美術の価格は一部を除いて全体的に下がる一方です。

(この項終わり)

(写真:陶山 勉)