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 今回のテーマは、ファイナンスです。会計は過去を見るものですが、ファイナンスは未来を見ます。このことは、ビートルズの楽曲の著作権を巡るエピソードで考えるととてもよく理解できます。

 未来を見るファイナンスの考え方は、企業買収の際に欠かせません。なぜなら、会社を買うかどうかは、将来その会社がどれだけ「稼ぐ力」を持っているかが決め手となるからです(詳しくは以下の動画でご覧ください。無料でご覧いただけます)。

田中靖浩(公認会計士):最終回の今回のテーマはファイナンスです。

白井咲貴(日経ビジネス):ファイナンスですね。

田中:結構、ビジネス書のコーナーでファイナンスの本ってよく見ますよね。会計とファイナンスは近くて遠い親戚のようなもので、どんな関係なのか悩む方も多いと思うんです。簿記が基礎にあり、決算書がその次にあって、財務会計、管理会計ときて、最後がファイナンスという感じです。

 基本的には会計は過去の記録計算なんです。今までやったことの結果を明らかにするために日々帳簿を付け、決算が終わったらそこまでの記録、計算を行い整理するのですから、過去を見ているんですよ。株主総会や決算発表で説明されるのは、前年の業績でしょう。

白井:そうですね。

田中:取材に行っても、経営者に「昨年の業績は?」と聞きますよね。

白井:はい。

田中:しかし、ある会社をM&Aで買うかどうか迷っている経営者にとっては、その会社がこれまでどれだけもうかったかを見ても意味がありません。会社を買うかどうか意思決定する際に関係するのは、未来ですよね。

白井:これからどれぐらい伸びるかどうかですね。

田中:そうです。今後、いくら稼ぐのか、株価がどれくらい上がるのか、そういったことが大事です。これは、経営だけでなく私たちの生活でも同じですよね。恋愛だってそうでしょう。大事なのは過去ではなく、未来ですよね。

 過去を扱ってきた、非常に「ネクラ」な会計から、「ネアカ」に飛び出そうよという試みが、ファイナンスと言っていいでしょう。未来を生み出すのがファイナンスです。

白井:ファイナンスは未来なんですね。