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(「オランダの栄枯盛衰と『株式会社』『会計』の誕生(前編)」から読む))

田中靖浩(公認会計士):(前編で見た)レンブラントの「夜警」、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」は、両方とも、アムステルダムの一番大きな美術館に飾られています。

 同じフロアに「夜警」と「牛乳を注ぐ女」があるんですが、行ってみてびっくりするのがサイズの違いです。「夜警」はものすごく大きく、壁一面を覆うくらいなんですが、フェルメールの絵は小さいんです。どれぐらい違いがあるかというと、こんなに違うんです。

(写真:筆者撮影)

白井咲貴(日経ビジネス):全然違いますね。

田中:ここに、当時のオランダの経済的な位置付けを説明する鍵があるんです。

 簡単に言うと、宗教画などは教会や王様が画家に注文して、描かせるものです。教会や王様の城はでかいので、当然ですけど、絵もでかくなる。なんでフェルメールの絵のように、オランダでは絵が小さくなったかというと、絵が市場取引財になったからです。

白井:そうなんですか。

田中:レンブラントの時代には、王様や教会から注文を受けて描くのではなく、旦那衆から注文を受けるようになりましたが、さらに進んで、オランダにマーケットができ、絵画が市場取引財になってくる。注文を受けてから描くのではなく、描いたものが市場で売買されることが増えていくんです。

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