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田中靖浩(公認会計士):会計(accounting)の中で「説明(account for)」というニュアンスが大事になったのはオランダです。

白井咲貴(日経ビジネス):オランダですか。

田中:オランダでは、1602年に東インド会社が誕生しました。異論はありますが、世界初の株式会社といわれています。それまでは株式会社はなく、イタリア商人たちは、個人のパートナーシップで商売をしていました。

プロジェクトベースで事業をしていたイタリア商人

白井:それは商人が個別で商売することもあるし、何か事業をするときには、みんなで集まって行うということですか?

田中:仲間が「一緒にやろうよ」と集まって事業を始めるイメージです。

白井:事業が終わったら、解散するのですか?

田中:そうですね。イタリアの船関係の商人たちというのは、3年契約ぐらいが基本で、うまくいった場合には自動延長する、そんな感じだったみたいです。大きなプロジェクトだと、1回往復して終了とかいうのもあったでしょうね。

白井:今とはだいぶ会社や商売のイメージが違うんですね。

田中:こういったプロジェクト単位で事業をする方がいいですよね。

白井:現在でも、プロジェクトベースの働き方が最先端になっていますね。

田中:やっぱりプロジェクトの方がいいと思いますよ。だって、どんな嫌な同僚や上司がいたとしても、そのプロジェクトが終わったら解散するんですから(笑)。健全な社会のためには、500年前のプロジェクトベースでの働き方を見直すのも大事だと思うんです。

 パートナーシップが形を変え始めたのがオランダの東インド会社です。オランダという国は、会計にとっても経済にとっても、すごく重要な国なんです。でも、オランダって、はっきりとしたイメージがないですよね。

白井:あまりないですね……。

田中:特に重要なのが17世紀。オランダが世界の中心だった時代があるんです。それがなぜ今、こんなにマイナーかというと、その後、かなり落ちぶれたからです。光り輝いていた時期が短く、その後、落ちぶれていった。その歴史を知れば 知るほど、⽇本もそうなるかもしれないと、少し⼼配になりますね。

 1602年に東インド会社ができ、後発組ながら、当時スペインとポルトガルが先行していたインド洋への遠洋航海に出ていって競争します。かなりの大規模な航海で、船を出すだけではなく、現地の港も全部整備し、街もつくるんです。場合によっては、兵器や兵隊も用意する。貨幣の鋳造までやっています。

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