
(「レオナルド・ダ・ヴィンチと決算の深い関係(前編)」から読む)
田中靖浩(公認会計士):前回、ルカ・パチョーリによって、簿記の基本が明らかになり、決算書の原型が出来上がってきたことをお話ししました。この決算書ですが、記者であればもちろん勉強されますよね?
白井咲貴(日経ビジネス):はい。
田中:まず決算書を読むためには全体構造を理解するのが重要です。決算書のイメージって、これなんです(下図)。点があって、線があって、点があって、線があって、点。

例えば最初の点として、新入社員の白井さんが10万円の貯金を持っているとしましょう。1カ月間をどう過ごすか。入ってくるお金は、会社からのお給料ですね?
白井:はい。
田中:出ていくお金は?
白井:自分の生活費とか、返すお金とか、クレジットカードの支払いとか……。
田中:もろもろの「出」と「入り」がありますね。1カ月を単位にすると、お金の出入りによって、次の月の貯金は変動し、10万円の貯金が9万円になることもあれば、12万円になることもあります。
この点と線のことを「フローとストック」といいます。点がストックです。その瞬間の大きさ、線が一定期間を区切った中での出と入りの大きさ。フローによってストックが決まってくるわけです。
白井:いくら出て、いくら入ってくるかで、点であるストックが変わる……。
田中:はい、貯金の金額であるストックが決まる。また、次の月がどんな暮らしぶりかによって、その後の月の貯金が変わる。非常に単純な話なんですが、これこそが会計の基本です。ストックとフローが分かれば、決算書は分かる。決算書はこれだけなんです。
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