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 ルカ・パチョーリ先生は、はっきりと「年に1回は決算をやったほうがいいよ」って書いています。そのほうが友情が長く続くといった感じで。

白井:友情が続く?

田中:なぜかというと、当時の“会社”はパートナーシップだったからです。株式会社はまだなくて、仲のいい者同士が金を出し合って事業をやっているわけです。そうすると「分配」の問題が出てきますよね。

 そのために決算をちゃんとやる。その決算のやり方までルカ・パチョーリ先生は事細かに指示をしました。商売人にとって、それまで「秘伝中の秘」だったものが表に出てきたわけですから、すごく役に立ったでしょうね。

 実際には分かりやすく解説した解説本みたいなものまで含めると、すごい勢いで簿記に関する書物が出て、商売人は勉強したそうです。

 ルカ・パチョーリが説明した解説によって、いくつかの基本が明らかになり、決算書がどういう存在であるかが分かってきました。

(後編に続きます)

ラインアップ(全10回、毎週水曜日掲載)
  • 01 歴史と絵画で学ぶと会計はこんなに面白い
  • 02 簿記と銀行がイタリアで生まれた理由
  • 03 レオナルド・ダ・ヴィンチと決算の深い関係(前編)
  • 04 レオナルド・ダ・ヴィンチと決算の深い関係(後編)
  • 05 オランダ「東インド会社」の誕生とレンブラント
  • 06 「鉄道マニア」と減価償却の深い関係
  • 07 初代SEC長官はインサイダーで大儲け?
  • 08 四半期決算と会計のルール
  • 09 いかに効率よく働かせるか~原価計算と管理会計の誕生
  • 10 マッキンゼー教授が始めた経営に使える会計講座
  • 11 ビートルズと未来を見る「ファイナンス」の深い関係
※今後の内容は変わることがあります
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田中 靖浩(たなか・やすひろ)
田中靖浩公認会計士事務所所長

1963年生まれ。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社などを経て現職。ビジネススクール、企業研修、講演などで活躍する。著書に『会計の世界史』(日本経済新聞出版社刊)『米軍式 人を動かすマネジメント』(同)。田中靖浩公認会計士事務所