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田中:経営層のみならず、あらゆる階層で、あらゆる業務をやっていく上で会計の知識を持っていることは絶対に損にはなりません。汎用性がある。それに、大して難しくないんですよ。

白井:難しくはないですか?

田中:基本的には足し算と引き算ぐらいしか出てきませんから。あとはどうやって勉強するかの道筋の問題です。これについては、ご覧になっている方も同じ悩みを感じていらっしゃると思います。

 ここでは、10回の講義を通じて、少しずつ皆さんに会計の学び方を提供しようと思っています。

 ところで、絵画はお好きですか。

経済の文脈で絵画を解説してみる

白井:絵画はあまり詳しくないです。

田中:大丈夫です、私も全然だめでしたから。でも、この本ではかなり絵画を使いました。私は別に絵画のプロでもなければマニアでもないので、極めて一般的な絵画を本の中で何枚か使いました。絵画を見るだけで、時代背景が分かりませんでしたか?

白井:そうですね。この絵が描かれていたときには、この国でこういう出来事が起こっていたんだとか分かりました。その絵は見たことがあっても、背景までは知らなかったので……。

田中:絵を経済の文脈で解説するというコンテンツはなかったですよね。

白井:今回、この講義でも絵が多く登場するそうですね。

アンドレア・デル・ヴェロッキオ「トビアスと天使」(写真:Polaris/amanaimages)

田中:はい。次回はこの絵を解説しようと思っています。「トビアスと天使」というんですが、旧約聖書外典の「トビト書」のストーリーをもとにして、ヴェロッキオという画家が描いた絵です。絵に詳しい人でも知らない人が多いと思います。ヴェロッキオが何者で、どのように会計に絡むのか。そして、この絵が当時の経済背景をどう表しているのか。このあたりについては、2回目で解説しようと思っています。