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簿記を勉強する人はとても多い

田中:今まで会計を勉強しようと思ってやったことってありますか? 何か本を読んだとか。

白井:そうですね。入社以来、いろいろな本を読んでいるんですけれども、会計の基本が分かるとか……。

田中:よく分かる会計の基本みたいな本ですね。

白井:はい。

田中:あるいは、1時間で分かる会計みたいな本でしょうか。

白井:そういう本や新書などを読んでみると、何となく分かったような気にはなります。

田中:お金の話なので、仕事だけでなく、生活面でも役に立つかなと思って勉強したところ、どっちにも役に立たない話って、結構あったでしょう。

白井:そうですね。

田中:いわゆる経理の話がすごく多いんですよ、会計書って。どの会社にも経理部ってありますよね。

白井:はい。

田中:そこに配属されて勉強するなら必要ですが、そうではない人にとって果たして必要なのかと思うような内容が、実は多く入っている。その典型的な例が簿記なんです。

 ちなみに、この国の簿記検定試験の受験者は年間で約50万人もいるんですよ。

白井:そんなにいるんですか。

田中:こんなに簿記を勉強している国はほかにないですね。これは一面、日本の強さでもあるんですが、ミスマッチを生んでしまっているのも事実で、「この勉強って本当に役に立つのかな?」と感じている人も多いのではないかと常々感じていました。

 そこで本当に役に立つものを提供したいという思いがあり、それが『会計の世界史』という書籍を書いたきっかけなんです。白井さんは既に読んでいただいたそうですね。

白井:はい。会計というものは、人間にとって必要があったからこそできたものなんだと分かりました。

田中:そうですね。人間が必ずいるんです。

白井:もちろん仕事に関係するので興味もあったんですが、そういった人たちがぶつかり合い、自分たちの生活だとか商売のために、より良い会計の仕組みをつくっていく。その一連のストーリーが面白く、会計の専門書というよりは、1つの物語を読んでいるようでした。

田中:ありがとうございます。こちらが狙った通りのいい生徒さんで良かったです(笑)。

 ビジネススクールの講師をやって実際に生徒さんに会計を教えている経験から言うと、この国の会計教育にはかなりミスマッチが起こっているんです。