バランスシート、決算書、減価償却、のれん……。ビジネスパーソンにとって必須科目ともいえる会計知識ですが、数字が苦手だととっつきにくく、勉強を始めたものの、途中で挫折してしまった経験がある人もいるかもしれません。

 そうした人にお薦めしたいのが、この動画シリーズ。会計について、用語の説明や数字は使わずに、歴史や絵画、まつわる人々の知られざるエピソードで学んでいきます。

 背景にある物語を知ると、会計の理解はぐっと深まります。

 ぜひ、このシリーズで尽きない会計の面白さを知っていただければと思います。

(詳細は上の動画でご覧ください)

 

田中:皆様こんにちは。公認会計士の田中靖浩です。私は講師という立場ですが、1人だと寂しいので生徒役の方に手伝ってもらうことにいたしました。白井さんです。

白井:はい。よろしくお願いいたします。

田中:最初に白井さんに自己紹介をしていただいてよろしいですか。

白井:はい。白井咲貴と申します。「日経ビジネス」編集部に配属されて2年目です。仕事では日々、経営者の方やビジネスパーソンと接することが多いのですが、大学時代まで特に会計や経営の勉強はしてこなかったので、現在勉強中の身です。

田中:今回の講座では『会計の世界史』という私が昨年出した新刊をもとにして、会計の学び方を学びますが、数字を使ったり電卓を使ったりはしません。会計の学び方を学ぶというイメージでお話を続けていければと思います。

白井:よろしくお願いいたします。

田中:白井さんは経済誌の記者となったから、会計を勉強しなきゃいけなくなったと。

白井:はい。

多くの人が自分の会計知識に不安を持っている

田中:状況は違いますが、ご覧になっている方も同じで、大学では会計なんて勉強してこなかった。しかし、ビジネスの世界に入ったら急に会計の知識が必要になった。さあ、どうしよう、という人はすごく多いと思うんです。大学時代に会計を勉強して、会計知識に自信を持ってビジネス界に出る人ってほとんどいないと思うんですね。

 本当に不思議ですが、この国のビジネスパーソンの98%か99%は会計知識について不安を持っているんです。

 日本人の計算能力は、小学校2年のときに九九を全員が暗記するところから始まって、すごく高い。インドの人は二桁の掛け算が暗算でできるといわれますが、全員ができるわけではないでしょう。そういう意味で、日本人の計算能力の高さは世界に誇れると私は思うんです。

 これがなぜビジネス界に入った瞬間に会計が苦手になるのか。この断層の理由は何か。決算書と言われると、みんなおびえて、後ずさりを始めるんですよ。自分の人生では関わりたくないと逃げまくるんです。

 でもどこかのタイミングで逃げられないときが必ずやって来る。やっぱりビジネスはお金で動いている。結論としてお金が増えたのか減ったのかを計測して、記録、計算するというのが会計の役割であるとするならば、そこから逃げられる人はいません。

白井:はい。

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