将来、マンモスはよみがえるのか

松岡:近畿大学は次の構想として、本当にゼロから細胞を作って、マンモスを誕生させようと考えています。

 マンモスの細胞から核やミトコンドリアを採取し、別のアジアゾウの細胞に移植をして、その細胞を分化させてマンモスを生み出すのです。ただここでも、そのマンモスを産むための子宮が必要になる。そこが大きなネックですが、例えば将来、人工子宮のようなものが開発されると、本物のアジアゾウの子宮を使わなくてもマンモスを誕生させることができます。

 ただし今の技術では、復活させることはできません。この先も、ゲノム解読やゲノム編集という技術が進歩していくはずです。そしてどこかでブレークスルーが生まれるでしょう。すると、いずれは実現できると期待しています。

マンモスのゲノムは、まだすべて解読されていないのでしょうか。

松岡:解読されていません。

 最後に展示しているのは、ユカギルマンモスと呼ばれる冷凍標本のマンモスの頭部です。2005年の愛・地球博でも展示しました。2006年に日本科学未来館でも展示しました。

 当時は地球温暖化が進んでいるので、変化する環境にどう向き合うのかというメッセージを打ち出しました。それから13年がたち、地球温暖化は依然として進行し続けています。加えて、いろいろな科学技術が進歩することで、問題も起こっています。

 日本科学未来館では、テクノロジーの進歩によっていろいろな可能性が生まれることと同時に、そのネガティブな部分も伝えることで、来館者の皆さんと一緒に、未来について考える場所を提供したいと思っています。

 マンモス復活プロジェクトも、現代の技術でマンモスをよみがえらせる可能性が出てきた。これはもちろん、いい面もあります。

 ただ同時に、現代の技術では、復活させるためにほかの動物を犠牲にする必要がある。また仮にマンモスをよみがえらせたとして、それをどう扱うのかという問題も考えなくてはいけません。本当に野生に戻してもいいのだろうか。

 私たちがこれまで予想もしなかったようないろいろな問題が起こってくるはずです。単純に科学ができることだけを追い求めるのではなく、同時にその影響も考えないといけないのです。

 今回の「マンモス展」では、そういった科学の持ついい面と悪い面の両方を見ることで、来館者の皆さんと一緒に、未来について考えたいと思っています。

「マンモス展」ラインアップ全4回(毎週金曜更新)
  • 01 13年ぶりの「マンモス展」、見どころは?
  • 02 マンモスの「化石」から分かることは何か
  • 03 マンモスの「冷凍標本」がついに明らかに
  • 04 最先端の技術でマンモスはよみがえるのか
※今後の内容は変わる可能性があります
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【概要】
  • 企画展 :「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-
  • 期間  :2019年11月4日まで
  • 開館時間:朝10時~夕方5時(入場は閉館の30分前まで)
  • 休館日:火曜日(ただし、10月22日は開館)
  • 開催場所:日本科学未来館
  • 住所  :東京都江東区青海2-3-6
  • サイト :https://www.mammothten.jp/