注目の美術展や企画展などのキュレーターが、その見どころを語る本連載。単に訪れるだけでは分からないような隠れたストーリーなどもつまびらかにしながら、見るべきポイントについて語ってもらう。

 4月5日から3週にわたって紹介しているのは、日本科学未来館で開催中の企画展「『「工事中!』~立ち入り禁止!?重機の現場~」。東京五輪まであと1年となった2019年、都内ではあらゆる場所で工事が進み、大きなビルが次々に建っている。

 だが工事中の様子を詳細に見ている人は少ないはずだ。特に最近では、騒音やほこりなどの影響を考慮して、工事中の建物に覆いをかけていることもあるからだ。現場では、どんな重機が活躍しているのか。その一端を学んでみよう。工事の「現場」でも確実に技術が進化している。

 解説するのは、日本科学未来館の事業部展示企画開発課の内田まほろ課長。工事現場というと、どうしても普通はまず、巨大建造物を「造る」シーンを思い浮かべる。だが一度、造ったものはいつかは壊さなくてはならない。そして、この「解体」でも、最新技術が使われている。また今後、どんな技術が工事現場に生かされるのか。未来の工事現場に採用されそうな技術についても紹介している。

ラインアップ 全3回(毎週金曜更新)
  • 01 五輪前の工事続々で大注目!「工事現場」が今、熱い
  • 02 ユンボから四脚クローラー方式双腕型まで!スゴイ重機が大集合
  • 03 巨大ビルはどう解体する?「壊す」場面でも先端技術が生きている
※今後の内容は変わることがあります
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 前回(「ユンボから四脚クローラー方式双腕型まで!スゴイ重機が続々」)は、巨大構造物を「造る」ための技術を紹介しています。

 今回紹介するのは、「解体」とその先の未来について。第3章「『都市』再・工事中―解体の美学」というコーナーを設けています。

 都市というのは、ビルを建てるだけではなく、ビルの寿命が来たら今度は解体しなくてはなりません。その解体するための機器を紹介しています。

 私の後ろに展示しているのは、2つの巨大なハサミです。とても大きいのですが、これで鉄骨や鉄筋をバキっと切ってしまうのです。前回、ご紹介した油圧ショベルの先に、この巨大ハサミを取り付けて使います。

 また巨大な丸いものは実は電磁石で、解体したものを分別する時に使います。

 鉄筋コンクリートというのは、鉄とコンクリートでできていて、鉄は再利用ができます。そこで、この巨大な電磁石で鉄だけをどんどん吸い付けて、鉄とそれ以外のものを、解体現場で分別する。そんな時に大活躍します。

 その先は、第4章「『未来』工事中?―これからもくらしを支えるために」というコーナーになります。紹介しているのは、新しい技術やこれから社会に出ていく技術です。

 これまでのコーナーで紹介してきたのは、どちらかと言えば「大きな」重機でした。けれど第4章で展示しているのは、「重機」というよりはむしろ「軽機」と呼ぶのがふさわしい小さな重機です。

 例えば折りたためるクレーン。今は足を出して展示していますが、実はこれは折りたたむと幅69cmまで小さくなり、「エレベーターに乗る重機」とも言われたりします。屋外の工事現場だけではなく、室内の解体工事や、大きな重機がなかなか入りこめない場所に持っていくなど、新しい重機の使い方を開拓してくれているクレーンでもあります。

 そして最後には、ミニ油圧ショベルに乗ってもらえるコーナーを用意しています。油圧ショベル2機とホイールローダー1機に乗っていただいて、たっぷり写真を撮ってもらえる撮影コーナーでもあります。

 実際に座ってみると分かります、色々なところに工夫がされていて、安全かつ効率的に仕事ができるように設計されています。それを、コントロールする目線で体験してもらうことができるのです。ぜひ、楽しんでください。

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