注目の美術展や企画展などのキュレーターが、見どころを語る本連載。単に訪れるだけでは分からないような隠れたストーリーなどもつまびらかにしながら、展示の見どころを語ってもらう。
本日から3週連続で紹介するのは、現在、日本科学未来館(東京・江東)で開催中の企画展「『工事中!』~立ち入り禁止⁉ 重機の現場~」。東京五輪まであと1年となった2019年、都内ではあらゆる場所で工事が進み、大きなビルが次々に建っている。
だが工事中の様子を詳細に見ている人は少ないはずだ。特に最近では、騒音やほこりなどの影響を考慮して、工事中の建物に覆いを掛けていることもある。現場ではどんな重機が活躍しているのか。その一端をのぞいてみよう。工事の「現場」でも確実に技術が進化している。
解説するのは、日本科学未来館の事業部展示企画開発課の内田まほろ課長。なぜ「工事」をテーマに据えた企画展を考えたのか。連載1回目はその狙いについて語ってもらった。
こんにちは、企画展「『工事中!』~立ち入り禁止⁉重機の現場~」に、ようこそいらっしゃいました。私は、日本科学未来館の事業部展示企画開発課の内田まほろと申します。
今回は、この企画展の見どころや企画の意図について、皆さんにお話ししたいと思います。
まずは、なぜ「工事」をテーマにした企画展を考えたのか。
この数年の間に、いろいろな技術が進化しています。例えば、街や建物、橋や道を造る技術も、急速に進化を遂げています。皆さんも、知らない間にビルが完成していて驚いた、という経験があると思います。
未来を変えていったり、自分たちの生活を豊かにするといったとき、どういう仕組みでモノづくりが行われているのかを、皆さんに知ってほしいとずっと思っていました。そこで今回の企画では、普段はなかなか見ることのできない「工事の現場」に皆さんをお連れしようと考えました。
「工事の現場」といったとき、やはり皆さんが見たいのは、特に男の子や男性は、働くクルマが好きですよね。普通なら近くで見ることのできない、こうした重機を、動物や美術館のアートのように、博物館の中に持ち込んで、皆さんおt共有できないかと思って、この企画にたどり着いたのです。
今は技術が進化していて、かつ一般の人になるべく迷惑を掛けないように工事を進める技術も発達しています。ですから壁を建てたら音もしない。そして、何年かすると、大きなビルが建っている。例えば橋などは、ほかの場所で造って、最後の一晩で架けたりします。「あれ、昨日はなかったのに、橋ができている!」ということも起こります。
それはいいことでもあるけれど、一方では、どういう思いで人がモノづくりに携わっているのか、またどんな技術があるのかということに、私たちはどんどん疎くなってしまいます。
今はちょうど、東京五輪直前ということもあって、いろいろなところでビルが建ったり、道が変わったりしています。そんな工事の最中ですから、これを機に、ぜひ皆さんに、ダイナミックなモノづくりの現場を、多く知ってもらえたらなと思っています。
展示には、単体の重機として完成されたものだと、3社くらいが参加しています。例えば足場だったり、クレーンの部品だったり、とにかく巨大なものの一部分だけを展示しているケースもあるので、そういったものを合わせると、7~8社のご協力を得て、今回の企画展が実現しています。
本当は皆さん、ものすごく大きな重機もご覧になりたいと思います。
ただ、そういったものは、このビルくらいの大きさがあったりして、展示場には入りません。ですから今回はまず、展示場に入るかどうか、という話をして、その後、それぞれのゾーンにテーマを設けて、テーマに合った活躍している重機を幾つかラインアップしています。
協力社の皆さんにとっても、重機を「貸せる」「貸せない」という判断は難しい部分があります。通常、重機は1日いくらで貸し出すものですから。それを展示物として貸せるかどうか、長期間の貸し出しは可能か、そういったタイミングも合わせながら、今の重機のセレクションになりました。
では、次回からは実際に、会場をご案内します。

- 01 重機の数々が目の前に!「工事現場」をのぞき見できる企画展
- 02 ユンボから四脚クローラー方式双腕型まで!スゴイ重機が続々
- 03 巨大ビルはどう「壊す」? ビル解体にも先端技術
>> 一覧
【概要】
- 企画展 :「『「工事中!』~立ち入り禁止!?重機の現場~」
- 会期 :2019年2月8日~5月19日まで
- 開館時間:10時~17時(入場は閉館の30分前まで)
- 開催場所:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
- 住所 :東京都江東区青海2-3-6
- サイト:https://kojichu2019.jp
Powered by リゾーム?