ヒットしたビジネス書の著者に話を聞く本連載。今回から4回にわたって登場するのは、現役東大生であり、ベストセラー作家の西岡壱誠氏。

 西岡氏は、東大合格者ゼロの無名校のビリ(元偏差値35)だったが、一念発起し、東大を受験。2浪したものの、浪人時代に「点の取り方」を誰よりも研究し、見事に東大に合格。ここで蓄積したノウハウをまとめた書籍を数多く執筆。一躍、現役東大生のベストセラー作家となった。

 今回紹介するのは今、注目を集めている『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』『「伝える力」と「地頭力」がいっきに高まる 東大作文』(ともに東洋経済新報社)、『“なぞなぞ”&“身近なテーマ”で楽しみながら「自分で考える力」を鍛える 東大ドリル』(ワニブックス)という3冊だ。

 「東大」というブランドを前面に打ち出しているため、一見すると学生向けの勉強指南本のように思いがちだ。だが読者層はもっと幅広い。東大書籍シリーズがどのように誕生し、広がっていったのか。そしてこれらの本に西岡氏が込めた思いとは。話を聞いた。


<span class="fontBold">西岡壱誠(にしおか・いっせい)氏<br>東京大学4年生/作家</span><br> 偏差値35から東大を目指すも、現役・1浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「暗記術」「読書術」、そして「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。東京大学で45年続く書評誌「ひろば」の編集長を務める。講談社「モーニング」で連載中の「ドラゴン桜2」に情報を提供する東大生団体「東龍門」リーダーを務める。全国4つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施、高校生に勉強法を教え、静岡県沼津市にある誠恵高校では理事長付学習特別顧問を務める。『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)など著書多数。1996年生まれ。
西岡壱誠(にしおか・いっせい)氏
東京大学4年生/作家

偏差値35から東大を目指すも、現役・1浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「暗記術」「読書術」、そして「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。東京大学で45年続く書評誌「ひろば」の編集長を務める。講談社「モーニング」で連載中の「ドラゴン桜2」に情報を提供する東大生団体「東龍門」リーダーを務める。全国4つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施、高校生に勉強法を教え、静岡県沼津市にある誠恵高校では理事長付学習特別顧問を務める。『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)など著書多数。1996年生まれ。

まずは西岡さんについて教えてください。

西岡氏(以下、西岡):僕は、もともと高校3年生の時の偏差値が35でした。

 偏差値35がどういうことかというと、まず英語の点数は3点。3点だと偏差値は26.9でした。数学も国語も似たようなもので、点数は十何点と二十何点。これが高校3年生の春です。

 それなのに、何を思ったのか音楽の先生にそそのかされたんです。担任で恩師なのですが、その人が「お前は自分で線を決めているだけだ。できないものは、自分の中で線を飛び越えられてないだけだ。だからお前は東大を目指せ」と言われて、東大を目指すことになったんです。

 これで現役合格したら「ドラゴン桜」や「ビリギャル」のようなきれいなストーリーなんですが、そうもいかずに2浪して3回受験をしました。東大に対しては1勝2敗。一応、最後は勝ったので、何とか東大に入れました。

 東大に入ると、その音楽の先生が「お前は面白い。オレも正直、東大に行くとは思っていなかった。偏差値35から東大に受かったのはすごいことだし、それは誰かに希望を与えられる。それを世の中に伝える意義がある」と言ってくれたんです。

 それで大学に入った後、出版関連の会社の門をたたいて、そこから1年で最初の本を出しました。それが、『超カンタンなのにあっという間に覚えられる! 現役東大生が教える 「ゲーム式」暗記術』という本でした。

 僕は、自分で本を出したいと思っていましたし、本はすごく好きでした。ですから恩師に言われた時に、「あ、確かにな」と思ったんです。そして縁にも恵まれて、本を出すことになりました。

 本を出させてもらっているというのは、それだけで1つの価値だと思っています。ただ僕自身は、まだまだ書けるというか、まだ書き切ってないぞ、という思いが今もあります。

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