ヒットしたビジネス書の著者に話を聞く本連載。4月16日から4回にわたって登場するのは、就活クチコミサイト「ONE CAREER」を運営するワンキャリアの最高戦略責任者であり、作家の北野唯我氏。2018年に初の著書『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(ダイヤモンド社)を刊行し、12万部のベストセラーを達成。2019年刊行の『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』(日本経済新聞出版社)も9万部とヒットし、大きな反響を呼んでいる。
『転職の思考法』では個人の働き方やキャリアに対して、『天才を殺す凡人』では日本企業の組織の在り方について一石を投じ、大きな反響を呼んだ。この2冊を通して北野氏が伝えたかったメッセージとは何か。話を聞いた。

ワンキャリア最高戦略責任者兼レントヘッド代表取締役、作家
新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局、ボストンコンサルティンググループを経験し、2016年ワンキャリアに参画し、最高戦略責任者に就任。2019年1月からは子会社代表取締役、社外IT企業の戦略顧問も兼務。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)は12万部を突破。2作目『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)は9万部を突破。1987年生。
『転職の思考法』と『天才を殺す凡人』の2冊を比べると、読者の声も違っていますか。
北野氏(以下、北野):「刺さっている層が違うな」と思います。あと『転職の思考法』の方がよりハウツーっぽかったのですが、『天才を殺す凡人』はどちらかというと、「君は何者なの?」「あなたは何者ですか」ということを問うています。ですから、その反応は結構、違うと思います。
『天才を殺す凡人』は、マネジメント層とHR(人事)の人が読んでくれていますね。読む人の層によって、感じるものや刺さる部分が全く違うのではないかと思います。
個人であれば自分の才能の生かし方について。本書の中では例えば、「他人の言葉を使うな、自分の言葉を使え。そうすれば共感を得られる」というメッセージがありますが、こういったものはもう、本当に個人の話ですよね。
一方で経営層などは、「創造性と再現性と共感性の3つは戦わせてはいけない」とか「そういうふうに全体像を見ないと新しい事業はつくり続けられないんだな」という部分が刺さると思うんです。
読者の声の中には「天才を殺したくない」という感想もとても多いですね。あと「自分は共感性を武器にしているけど、再現性も持ちたい」「天才がもう少し生きやすい世界にできたらいいのに」などという声もありました。
『天才を殺す凡人』では、「病める天才」「エリートスーパーマン」「最強の実行者」、組織を殺す「サイレントキラー」、天才を救う「共感の神」など、組織の中によくいるような人たちを分かりやすくキャラクターにしたチャート図もあります。
北野:これは純粋にエンターテインメントの要素を盛り込んだんです。やっぱり、名前が面白くないと楽しくないですから。物語を成り立たせるために、面白く、かつ端的にその人の特徴を表す名前を付けた方が分かりやすいと考えました。
あと、「サイレントキラー」以外は、どれに当てはまってもそんなにイヤな気はしませんよね。意識的に、そういう言葉を選んだつもりです。
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