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どこで働くかではなく、どうありたいか

北野:JTでもカテゴリー別採用を実践しています。

妹川:カテゴリー別採用をしたり、ほかにも色々と工夫して変えていっています。古川さんと似たような考えを持ちつつ、それとは逆の思いもあったりして、どちらかというと弊社はジョブローテーションを重視しています。もちろん、それぞれの学生がジョブローテーション型なのか、意志を尊重した方がいいのかを見極めながら、ですが。

 結局、正解は配属された本人にしか分かりません。であれば、20代の頃はいくつかの部署を回ってもらうことも選択の一つ。23歳の時に感じたことと、それから何年か働いて見えてくる世界は絶対に違うはずです。彼らの選ぶ権利を剥奪するつもりはないけれど、どちらかというと、彼らの声をどう咀嚼(そしゃく)していくのか、という部分に力を割いています。

 私はよく配属希望などで皆さんに「どこに行きたいか」ではなく、「どうありたいか」と聞いています。その希望にどう応えることができるかを考えて、「こんな部署がいいんじゃないか」と配属先を考えているんです。一生、同じ部署で働くわけではないですし、まずは「どうありたいか」を重視して配属してみる。

 三井物産さんの「9割が第4希望までの部門に配属される」という実績はすごいことだと思います。一度彼ら自身に選んでもらって、「やっぱり違った」となればその声も吸い上げてローテーションしていけばいい。それは、とても大きな魅力ですよね。

古川:弊社の場合、今は15本部ありますが、一つの本部の中にも色々な仕事があって、取り扱う商材によって、業務内容も全く違います。ですから、まずは学生の希望する15本部になるべく配属して、配属後も本部の壁を越えて異動してもらうこともあります。

 私自身、物資本部(当時)からICT事業本部に異動していますし、役員の中でもおそらく4割くらいは、2つ以上の本部を経験しています。つまりそもそものキャリアプランが、ある本部に入ったらそれで最後というわけではないんです。

北野:両社とも学生の思いをとても大事にしながら配属先を考えていることが分かりました。ただ一方で、就活する学生のおよそ7割は、将来の転職も視野に入れているそうです。それは言い換えれば、入社後どのくらいでどんなスキルが身につくのかということをとても意識している。

 どんなに会社側が「色々な部署を経験して成長してもらいたい」と彼らのキャリアプランを長期的に考えても、新卒社員には響かないかもしれない。新卒社員が数年で転職しないようにするには、期間を明確に区切って、実感できるスキルを短期的に身につけてもらうことも重要なのではないかと感じます。