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一瞬で一生勤める会社を選ぶのはもう古い

最初の就活の「多様化」について、教えてください。

北野:私はそもそも「就活」という言葉も、もう古くなると思っています。就活というとどうしても、一括採用で終身雇用を前提とした印象がありますよね。

 けれど、その言葉の枠を取り払って、自分がどう働くか、つまり「仕事選び」という観点で捉え直せば、本来は別に大学1年生から仕事選びを始めてもいい。働き始めた後で転職することだってできる。「仕事選び」の概念は、本来はもっと大きなものなのではないかと思うのです。

 それが、これまでは「就活」という言葉で一括りにされてきました。つまり「一瞬で一生の会社を選ぶ」というのが、これまでの就活の概念だったのです。

「一瞬で選ぶ」とはどういうことでしょう。

北野:これまでは3月1日になると、企業は採用活動をスタートしてきました。3月1日に一斉に企業説明会が始まって、6月1日から選考が解禁される。終身雇用が前提とされてきた時代は、学生はこのスケジュールに合わせて、たった数カ月の間に一生勤める会社を選んできたわけです。これが「一瞬で一生の会社を選ぶ」ということです。

 新時代の仕事選びでは、この一連の流れがもっと多様化されていく。学生は自分が興味のある企業に対して、いつでも、いろいろなルートでアクセスできるようになるし、企業側も多様な方法で採用活動を実践するようになるはずです。

 実際、学生の方は仕事選びに対して、多様な価値観を持つようになっています。例えば最近の調査では、大学生のおよそ7割が、「将来転職もあり」と思いながら就活しているということが分かりました(i-plugの実施した「就活生意識調査アンケート(2018年1月)」より)。平成が始まったおよそ30年前には、恐らくこれほど多くの学生が、就活の段階で将来の転職の可能性を視野に入れていなかったはずです。

 また3月に一斉にスタートする企業説明会にとにかくたくさん参加して、その中からエントリー企業を選ぶという方法「以外」のケースもあるはずです。極端なことを言えば、大学1年生から特定の企業で長期インターンとして働いて、その1社しか受けず、納得してそこの会社に入るケースだってあり得る。

 つまり、これまでは大学生にとって非常に画一的だった「仕事選び」が多様化されていく。「多様化」はビジネスや世界のトレンドの一つ。世の中のあらゆる価値観が多様化していく中で、仕事選びにもその波は及んでいくはずです。