「握手」がチームを強くする

中竹:握手は何から着想を得たのでしょう。

森山:創業メンバーで心理学を勉強した時に、スキンシップがいいと分かって、最初はハグを導入しようとしたんです。ところが4人目に入ってきたメンバーが帰国子女で、とてもハグがうまくて、「うわ、これをやられたらちょっと引くな」と考えを改めて(笑)、握手に落ち着きました。日本人はやはりハグはハードルが高くて、握手くらいがちょうどいい。グローバルにも通用しますし。

中竹:確かにそうですね。私の研究対象の一つが「ウィニングカルチャー(勝利を導く組織文化)」なのですが、やはり握手は有効です。

 とある古豪のラグビーチームに就任した監督が、1カ月ほどチームの様子を観察した後に言ったのが、「これからは練習前に全員で握手をしよう」でした。それまでは個々の選手がバラバラに座って音楽を聴いていたりして、会話がほとんどない状態だったそうです。

 「あまり言いたくないけれど、せっかくのチームなのだから、全員と握手し、会話をして、チャンピオンのように練習しよう」と監督が提案し、それを実際に始めてからぐんぐんと成績が伸びていったという実話があります。

チームボックス代表取締役・日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二氏
チームボックス代表取締役・日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二氏

石川:握手をすると、幸福感や信頼感につながるホルモンのオキシトシンが分泌されるともいわれています。某大手広告会社のトップの方も、「社長の仕事は社員と握手することだ。5000人までなら何とかいける」と言っていました。政治家も握手を重視しますよね。米国に留学した時、政治家養成の講義を受けてみたら、そこでも「握手の仕方」を教えていたのを思い出しました。AKBも人気のメンバーは握手を極めていると聞きますし(笑)。

小林:お話を聞いて改めて思ったのは、社長の仕事は「掛け算」なんだな、ということです。楽天のスローガンは「Believe in the future」、未来を信じようというものです。未来を信じられる人間のエネルギーは「1.1」で、未来を信じられない人間のエネルギーは「0.9」だとすると、未来を信じられる人間が集まるだけで、エネルギー量は増えていく。

 ただし、単に集まるだけでは最大化はできず、「1.1×1.1×1.1……」と掛け算をしていくことが、組織のパフォーマンスを高めるためには必要です。そして社長の仕事は、個々の力を足し算でもなく、引き算でも割り算でもなく、掛け算すること。その具体例が、全員ランチであり、握手だったりするのかもしれませんね。

森山:「1.1を掛け算しよう」と認識を合わせることが重要ですよね。

(後編は2019年4月17日公開予定)