見てみたい!お祭りのような全社員ランチ

柴田:私は、カリスマ性ゼロです。よく、「社員から誕生日を祝っていただきました!」とSNSに投稿する社長がいますが、私の場合は昨年の誕生日も華麗にスルーされました(笑)。

中竹:非常に共感します。我々はむしろ「祝ってくれなくていい」と思うタイプですよね。ネットプロテクションズとLIFULLは、リーダーシップスタイルは違っても、組織が向かっている方向は近いという点で興味深いお話でした。

 最後に話していただくのは、またクレイジーですよ。何といっても社名が「CRAZY」ですからね。うちの社員もファンが多い会社です。森山さん、お願いします。

CRAZY代表取締役社長の森山和彦氏(以下、森山):オーダーメードウエディングをプロデュースする会社を経営しています。皆さんの話を聞きながら、たくさんの学びをいただいているんですが、僕は「愛」と「力」が両立する会社経営について、めちゃくちゃ考えて起業しました。つまり、ティール組織のような愛のある会社でありながら、経済の循環に適合して楽天のように急成長できる会社になりたい、と。そのどちらも両輪として偏らないような組織をつくりたいと、ずっと試行を重ねてきました。

CRAZY代表取締役社長の森山和彦氏
CRAZY代表取締役社長の森山和彦氏

中竹:バランスが大事ですね。

森山:トップダウンも大事だし、ボトムアップも大事です。経営者の役割は、組織の中のエネルギーを創造することだと考えたわけです。それで色んな制度を取り入れてきたのですが、石川さんのお話ともひも付く習慣が、うちにもあります。それが、「社員全員で一緒にランチを食べる」というものです。雑談を通じて信頼を深めることが目的で、毎日やっています。

 うちは「結婚」という大きなライフイベントを扱う事業なので、顧客と感情を交換し合うスキルを一人ひとりが身につけることがとても大事なんです。だから、日常的に社内で感情を交換する文化を大切にしています。ぜひ、皆さんも遊びに来てください。うちのランチを初めて見た方は皆さん、驚きます。「お祭りですか」と聞かれるくらい盛り上がっているので(笑)。

石川:僕は一度お邪魔したことがあるんですが、本当に幼稚園みたいににぎやかです。小学校ですらない、幼稚園レベルの活性度でした(笑)。

森山:もう一つ、石川さんが話していた調査の10項目の中に、「よく眠れた」というものがありましたよね。僕はこれに焦点を当てたいと思っています。人類にとって最も重要なのは健康だと考えていて、僕はWHO(世界保健機関)が提唱する「身体的健康」「精神的健康」「社会的健康」という3つの基準を意識しながら経営しています。

中竹:何だか壮大な話になってきましたね。

しっかり眠ると報酬が増える制度!?

森山:変なんです(笑)。ビジネスで考えると変わっているんですけど、大事だと思っています。健康維持のために必要なのは、食事と水と空気、運動と睡眠です。このうち最も手を付けにくかったのが睡眠だったんですが、ついに昨年、施策を実現したんです。それが、「睡眠報酬」という制度です。

 1年研究してから導入した制度なんですが、6時間以上睡眠をとれた日が週5日で500円、6日で600円、7日達成すると1000円をもらえるという制度です(編集部注:2019年3月には1日6時間以上の睡眠をとると100ポイント=100円相当の報酬となるよう制度を更新した)。会社が管理すべきなのは労働時間ではなく、健康に費やす時間であるはずだという新しい発想です。

中竹:寝たらお金がもらえるというのは斬新ですね、「寝ずに働け」というカルチャーがまだまだ多い中で。しかし睡眠時間はどうやって測るんですか。

森山:アプリで計測しています。

中竹:なるほど。あと、私が以前伺って感心したのは「握手を積極的にする」という習慣です。

森山:握手はリスペクトを交換する行為なので大切にしています。週に1回、ちゃんと集まって全社員同士で一人ずつ、握手をしています。握手では、ただ手を握るだけではなくて、「1秒を交換する」という意識を大事にしています。全員と握手をしてもそんなに時間はかかりませんが、これをやるのとやらないのでは、全体のエネルギーが全く違います。それに、「ちょっとつらそうだな」という社員の存在にも気づきやすいんです。

石川:壮大なる“毛づくろい”をしているんですね。

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