約10年ごとに繰り返される経済危機。約10年前の金融危機のさなか、一冊の本に、柳井正・ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長が序文を書いた。世界的に著名な経営アドバイザー、ラム・チャラン氏著『徹底のリーダーシップ』(プレジデント社)だ。現場を見ろ、キャッシュを見ろ、足を引っ張る幹部を排除せよ――。経営者に徹底した実行を訴え続けるラム・チャラン氏に、2021年の今、これからの経済状況も見据えたビジネスリーダーの心構えについてインタビューした。

ラム・チャランさんは、2009年の金融危機のさなか、「徹底した経営(management intensity)」という言葉を使い、危機に立ち向かう経営者に助言していました。それから10年以上経ち、前例がないタイプの危機にさらされている今の環境において「徹底した経営」とは、何を指すでしょうか。

ラム・チャラン氏(以下敬称略):スポーツやオーケストラであっても、どんな人々も、とにかく実行、実行を繰り返すことを通じて何かを習得する。実行を続けていれば、実行すること自体が第2の習慣になる。習慣になり、集中し続けていると、それが「徹底的に実行する」ことにつながる。

<span class="fontBold">ラム・チャラン(Ram Charan)</span><br />経営アドバイザー<br />元、米ハーバード経営大学院教授。インドに生まれ、10代の時から家業を手伝い、大学で工学を学んだ後、米ハーバード経営大学院でMBA(経営修士号)および博士号を取得。対話を重視した実践的アプローチで、ベンチャー企業からフォーチュン500企業まで、絶大な信頼を得ている。著書に200万部を売り上げたベストセラー『経営は「実行」』(ラリー・ボシディとの共著、日本経済新聞出版)などがある。
ラム・チャラン(Ram Charan)
経営アドバイザー
元、米ハーバード経営大学院教授。インドに生まれ、10代の時から家業を手伝い、大学で工学を学んだ後、米ハーバード経営大学院でMBA(経営修士号)および博士号を取得。対話を重視した実践的アプローチで、ベンチャー企業からフォーチュン500企業まで、絶大な信頼を得ている。著書に200万部を売り上げたベストセラー『経営は「実行」』(ラリー・ボシディとの共著、日本経済新聞出版)などがある。

 世界は今、最大級の「徹底した経営」が必要だ。とりわけ必要なのは、顧客を徹底的に見ることだ。顧客の行動が劇的に変化している。そもそも企業経営者は、顧客を満足させ、顧客のニーズを予想するために会社を経営していることを忘れてはならない。

 サービスを創出し、顧客にとって何が便利かを予想する。そしてそれは、より低価格になっているだろうか? 顧客のニーズを知るために、顧客の行動を知るために、絶えず走り続ける。それこそが徹底する経営である。

前著ではファーストリテイリングの柳井会長が序文を書き、その中でこの「徹底した経営」という言葉を大変重んじていました。

ラム・チャラン:柳井会長とは、光栄にもここ3年ほど仕事でご一緒している。そして、年に数回は話している。

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