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(写真:アフロ)

 年が明け、早いもので21世紀に入って20年目となります。これまでのところで、今世紀最大の発明は何でしょうか。色んな意見があるでしょう。私はスマートフォンを推したいと思います。「既存技術を組み合わせただけで発明ではない」という声もあるでしょうが、発明は技術に限ったものではありません。iPhone発売からまだ12年しか経っていませんが、世界を手のひらに収めるような新たなコミニュケーション手法はビジネスや生活を一変させました。無限の可能性につながるその世界観は十分な発明と言えるのではないでしょうか。

 しかし、これから本格化する次世代通信5Gはそのスマホの形をも一変させるのではないかと言われています。今世紀中にはスマホよりももっとすごい発明が登場することでしょう。情報処理能力と通信容量の飛躍的な高まりを原動力とする技術革新の連鎖は世の中の高速回転をさらに加速していくようです。

 後に見れば2020年は歴史の転換点だったと言われるかもしれません。技術革新の基盤となる5Gや量子コンピュータの普及・研究が本格化する一方で、世界に影響を与える米大統領選、米中関係を刺激しかねない台湾総統選、そしてBrexitなど国際情勢の将来を左右する節目が目白押しです。景気の先行きも不透明で、相次ぐ山火事などを見ると地球温暖化もいよいよ危険な水準に達しつつあるようにも思えます。

 長年、企業を取材していて、ある変化が確実に起こっていると思うことがあります。経営者が見通せる将来の年数が短くなっているという変化です。かつては「10年先のことは分からないな」と言う経営者が多かったものですが、最近では5年先、3年先が見えないという話をよく聞きます。中には「来年のことさえ定かではない」との声も少なからず聞こえてくるようになりました。

 技術革新と国際情勢が激しく動く今年は「明日の見えない時代」が始まる年になるかも知れません。見えない明日が始まる歴史の転換点です。

 その中で変化に振り回される側になるか変化を起こす側になるかーー。目指すのは後者しかありません。日経ビジネスは暗闇の中で変化に挑む皆様の足元を照らすトーチとなれるよう全力を尽くします。

 今年もよろしくお願いいたします。