中国大手不動産開発会社が直面する債務問題は、同国の産業の根幹をなす鉄鋼セクターに悪影響が波及しているほか、他の重要セクターにも影を落とし始めた。

 鉄鋼業が動揺し、セメント、ガラス、家電といった分野も軒並み需要減に見舞われやすくなっている事態は、中国経済に相当な打撃をもたらしかねない。それだけに政策担当者にとっては警戒すべき要素と言える。

 既に鉄鋼価格は過去最高値を更新した今年初めの水準から下落している。これは鉄鋼消費の半分強を占める建設活動で需要が軟化したためだ。同時に鉄鋼メーカーの株価も低迷している。

 鉄鋼業は建設や製造業の拡大・縮小と強い連動性があるため、中国経済の動向を探る指標として注視されてきた。その上、広大な供給網(サプライチェーン)を支えるために非常に多くの労働者も雇用する。その活動が鈍化局面に入ったのは、今年第2・四半期だ。

中国大手不動産開発会社が直面する債務問題は、同国の産業の根幹をなす鉄鋼セクターに悪影響が波及しているほか、他の重要セクターにも影を落とし始めた。写真は2017年7月、山東省済南の製鉄所で撮影(2021年 ロイター)
中国大手不動産開発会社が直面する債務問題は、同国の産業の根幹をなす鉄鋼セクターに悪影響が波及しているほか、他の重要セクターにも影を落とし始めた。写真は2017年7月、山東省済南の製鉄所で撮影(2021年 ロイター)

 不動産向け融資規制が強化され、中国恒大集団など多額の債務を抱えた業者が苦境に陥ると、不動産各社は物件開発投資を縮小して手元現金の保持に走り、鉄鋼業に痛手となった。

 北京を拠点とする鉄鋼トレーダーの1人は「われわれは普段、比較的価格が安くなる冬場に鉄鋼製品の在庫を積み増し、消費が再開する年明けに売却する。しかし、今年は(在庫確保)を見送っている。来年の不動産市場は不確実性がまだ残っており、今後半年から1年間で状況が完全に元通りになりそうにはない」と述べた。

 11月には中国上位100都市で売れ残った住宅在庫が5年ぶりの高水準に達し、買い手の心理が冷え込んでいる様子がうかがえる。来年の住宅需要はさらに弱まる見込みで、「川下」の関連製造業に広く逆風が吹きつつある。

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