広告ネットワークから排除の動きも

 「マーケティング素材を検証した後、そこで使われている文言は容認しがたいと判定した。こうしたアプリのユーザーの圧倒的多数は悪意のない娯楽用途で使っていると思うが、それでもなお、悪意ある目的で利用される可能性があることも認識している」

 ロイターはエクソクリック以外にも大手オンライン広告ネットワーク6社に取材を試みたが、ディープフェイク用ソフトの広告を扱ったことがあるか、またそれについて方針を定めているかコメントを求めたところ、回答は得られなかった。

 アップルの「アップストア」やグーグルの「プレイストア」では、12歳以上であれば問題のアプリを入手できるが、アプリの説明ではポルノ製作に利用される可能性には言及していない。

 アップルは、ディープフェイク用アプリについて特にルールは定めていないが、全体的なガイドラインにおいて、誹謗中傷や他人に対する侮辱・脅迫・危害の可能性のあるコンテンツを含むアプリは禁止していると説明した。

 さらにアップルは、アプリ開発者は「アップストア」内外で誤解を招くような手法で自らの製品のマーケティングを行うことを禁じられており、ガイドラインを順守してもらえるよう、アプリ開発会社と協力していると明らかにした。

 グーグルにもコメントを求めたが、回答は得られなかった。アダルトサイト上の「ディープフェイク・ポルノ」広告に関してロイターが問い合わせた後、グーグルは一時的に、プレイストア上で問題のアプリが掲載されたページを非表示としたが、アプリのレーティングは「E」、つまりあらゆる人(Everyone)向けとなっていた。当該のページは約2週間後に復活し、アプリの現在のレーティングは、「性的なコンテンツ」を理由に「T」(ティーン以上)とされている。

 成長期にある顔交換ソフトウエア産業には悪質な関係者もいるが、消費者向けに提供されているアプリはさまざまであり、多くは悪用を防止するための手を打っている、とアジダー氏は指摘した。同氏は、業界団体「シンセティック・フューチャーズ」の一員として、合成メディアの倫理的な利用を呼びかけている。

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