何もかも異常

 しかしここ数カ月、何もかも通常通りには進まなくなった。9月にはゲーム機を積んだ貨物船がロサンゼルス港で3週間も足止めされる事態。タウンリー氏は締め切りに間に合わせるため、製品が荷下ろしを終えるとニューアークを経由せずケンタッキーに直送しようと試みたが、「あいにく、通関の人々だけは頑として認めてくれなかった」という。

サプライチェーン(供給網)の目詰まりが、ニュースで毎日のように取り上げられている。製造業者から店舗の商品棚まで届かないという問題だ。ある製品を製造ラインから追ってみた。

 結局、中国からシカゴ経由でテネシー州に航空貨物で直接運ぶという解決策に至った。その結果コストは跳ね上がり、コンテナ1個を中国から倉庫に輸送するコストは約1万8000ドルになった。去年の今ごろは3500ドル、実に5倍以上だ。

 ゲーム機が倉庫に着けば一件落着というわけではない。トラック運転手の確保が至難の業になったため、タウンリー氏は自分でトラックを買うことまで考えたが、結局やめた。

 小さな企業だけに、顧客にコストを転嫁できる力はない。その代わりコスト削減に励んだ。タウンリー氏はゲーム機を手に取ると、色とりどりのボタンを指さして見せる。この色を諦めて黒に統一することで、1台当たり0.5ドルのコストを節減したという。ゲーム機のサイズもわずかに小さくし、機器の格納に使うプラスチック製の部品も1つ減らした。

 中国から届いたパレットにどこで穴が空いたかは、ほぼ特定できた。東莞工場のフェン氏はコンテナ収納前にすべてのパレットの写真を撮っており、出荷前にできた傷ではないことはすぐに確認できる。このコンテナはニュージャージー州の通関審査のためにフォークリフトで引き降ろされたため、その際についた傷に違いないとタウンリー氏は確信している。

(Timothy Aeppel記者、Xiaoyu Yin記者)

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