完全電動の自動運転車

 だが今のところ、彼はもっとシンプルなアプリケーションに力を注いでいる。その一部は、オーストラリアのスタートアップであるアプライドEVが開発した用途特化型の完全電動による自動運転車を使ったものだ。

 英イングランドのオックスフォードにあるオクスボティカ本社で、実験車両を披露しつつ、「行く手は遠い」とニューマン氏は言う。「エンジニアリング分野で最も解決困難な問題の1つだ」

 オクスボティカは、日立建機グループのウェンコと提携して、鉱山で使用する車両の開発に取り組むほか、エネルギー企業のBPとも、へき地にあるウィンド(風力発電)ファーム、ソーラー(太陽光発電)ファーム向けの車両など、多種多様な可能性を探っている。

 BPでデジタル科学工学担当のシニアバイスプレジデントを務めるモラグ・ワトソン氏は、オクスボティカのテクノロジーを使えば、大規模な発電サイトを監視し、機器を回収して修理担当者のところまで運んでくることも可能だと指摘。同氏によれば、2022年までさまざまな選択肢をテストしてみる予定だという。

 「産業レベルでの自動運転で何ができるか、私たちはまだ手探りの状態にすぎない」とワトソン氏は語った。

 オクスボティカは、オンライン食品宅配テクノロジー企業の英オカドとも提携している。オカドは、米国の小売チェーン企業クローガーなどのために、サプライチェーンシステムの自動化に取り組んでいる。BPとオカドは、両社ともオクスボティカに投資している。

 オカドで先進テクノロジー担当部門を率いるアレックス・ハーベイ氏は、オクスボティカのテクノロジーは「倉庫やバックヤード、道路、あるいは道路脇やキッチンでも活用できる」と話した。

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