イーロン・マスク氏の言葉がもし真実だったら、私たちは今ごろ自動運転の「ロボタクシー」で街中を行き来しているはずだった。
しかし現実には、完全な自動運転による乗用車はスタートを切るにも苦労している。投資家の中には、ドライバー抜きのトラックの方が最初にゴールにたどり着く方に賭けようという動きも見られる。
ほんの1年前、ロボタクシーを開発するスタートアップ企業による資金調達額は、トラックやバス、物流用車両の自動運転を手がける企業に比べ、8倍も多かった。

だが、主要幹線道路や固定された配送ルート、あるいは鉱山や港湾など自転車や歩行者の姿がまれな環境で運用されるトラックの方が、ロボタクシーに比べて規制面・技術面のハードルが低いため、現在ではむしろこちらが先に利益を生むようになると見られている。
スタートアップ企業関連のデータを提供するサイト「ピッチブック」によれば、今年に入ってから12月6日までに、自動運転物流用車両への累積投資額は、2020年同時期の13億ドル(約1476億円)に対し、65億ドルへと5倍に膨れ上がっている。
一方、ピッチブックがロイター向けにまとめたデータで見ると、ロボタクシー企業への投資額は、2020年同時期の108億ドルから22%減の84億ドルだった。
実際のトレンドは、こうした数字よりもさらに顕著かもしれない。というのも、アルファベット傘下のウェイモなどロボタクシー企業の一部は、自動運転トラック事業への投資を増やしているからだ。
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