ソースネクストが主力の携帯翻訳機「ポケトーク」関連事業を分社化する方針を固めたことが17日、日経ビジネスの取材で分かった。2024年中をメドに東京証券取引所への上場を目指す。資金や人的資源を集中させることで、グローバル展開を加速させたい考えだ。
分社化する新会社は「ポケトーク株式会社」の社名で22年2月にも設立し、ソースネクストの松田憲幸会長兼CEO(最高経営責任者)が社長に就くもようだ。

当面はソースネクストが親会社となるが、将来は出資比率を50%以下に下げることで「親子上場」問題を回避する見通し。ポケトーク社の上場後も資本関係は継続するとみられる。
旅行需要が新型コロナウイルス禍で蒸発
ソースネクストは17年にポケトークを発売。端末上のボタンを押して話しかけると翻訳結果を音声やテキストで表示するほか、内蔵カメラで撮影した文字も翻訳できるのが特徴だ。英語や中国語をはじめ60以上の言語に対応し、20カ国以上で販売。21年9月には累計出荷台数が90万台を突破した。
これまでの用途は海外旅行先での翻訳や、訪日外国人客への対応が中心だった。連結売上高に占めるポケトークの割合は19年3月期で47%、20年3月期には52%まで高まっていた。だが、新型コロナウイルス禍で旅行関連の需要が蒸発。21年3月期のポケトーク関連売上高は前の期比75%減の22億円まで急減し、全体に占める割合も2割程度まで落ち込んだ。直近のソースネクストの株価は18年に付けた上場来高値から約7割低く、時価総額も300億円を下回る。

日本政府観光局(JNTO)によると、21年の訪日外国人客数や出国日本人数は19年と比べ、11月までの全ての月で96%以上減少した。新型コロナの変異型「オミクロン型」の感染拡大で渡航制限の動きが広がるなど、当面は旅行関連需要の取り込みが期待できそうにない状況が続く。
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