「ロヤ」と呼ばれる「コーヒーさび病」の蔓延

 だが今年の状況は特に悲惨であることが、中米諸国のコーヒー栽培農家10数人のほか、中米地域の各国の複数の業界団体、さらに米国に本拠を置く国際コーヒー関連団体への取材から判明した。

 ここ数年、中米諸国のコーヒー栽培農家は、国際市場でのコーヒー価格の下落とブラジル産のシェア拡大により、損失と借金を重ねてきた。そこに追い討ちをかけているのが、再燃した「ロヤ」と呼ばれる「コーヒーさび病」の蔓延である。

 2020年末に中米地域を蹂躙したハリケーン「イータ」と「イオタ」は、作物に大きな被害をもたらし、数十万人が住居を失った。さらに、ハリケーン後の多湿状態がロヤの再燃を招いた。

 中米各国のコーヒー業界団体による域内研究ネットワークPROMECAFEのレネ・レオンゴメス事務総長は、「コーヒーが不作になると、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグアから多くの移民が発生するようになる」と語る。

 労働集約性の高い手摘みによるコーヒー生産は、中米諸国の多くの住民の生計を支えている。だが2017年末以降その生産は10%減少し、この先のシーズンにはさらに低下すると予想されている。これは、国際コーヒー市場では大規模で機械化されたブラジルのコーヒー栽培農家への依存が強まり、悪天候によってブラジルの作柄が悪化した場合に価格急騰が起きやすくなることを意味している。

 米税関・国境警備局(CBP)によれば、9月30日までの会計年度にメキシコ国境で拘束した密入国者は170万人で、記録に残る中で最多となった。2019年度に比べて2倍、コロナ禍によるロックダウンが実施されていた昨年度に比べて4倍以上だ。

 CBPでは移民を職業別には分類していないが、ホンジュラスのコーヒー研究機関IHCAFEがロイター限定で提供した最新の移民データを見れば、移民に含まれるコーヒー栽培農家の数をある程度推測できる。

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