英ロンドン・ビジネス・スクール教授で、「人生100年時代」を生きる指針を示したベストセラー『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)の共著者としても知られる著名経営学者のリンダ・グラットン氏がこのほど来日した。超高齢社会について話し合うために東京都内で11月30日に開催されたウェルエイジング経済フォーラム(同フォーラム主催)で講演し、「世界的に見て日本人の平均寿命は極めて長く、60代や70代まで働く必要があるだろう。年を取っても、いかに生産的であり続けられるかが課題だ」と指摘した。

英ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン氏(写真:的野 弘路)
英ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン氏(写真:的野 弘路)

 生産的であり続けるために、グラットン氏が大切だと考えているのが親密で多様な人間関係である。「何歳になっても学び続けられるよう、さまざまなことを教え合える人が周囲にいることが重要だ」「良き友がいれば活力も高まる」「背景の異なる多彩な人々と知り合っていれば、新たなキャリアにチャレンジしやすくなる」などと強調する。

高齢日本人男性の4割が「親しい友人がいない」

 ところが日本の高齢者は一般的に人間関係が希薄だ。60歳以上の高齢の男女を対象に内閣府が2020年に実施したアンケートによると、「親しい友人がいない」と答えた人の割合は31.3%だった。特に高齢の男性に限れば、親しい友人がいない人の割合は40.4%にも達する。内閣府が同時に調査したスウェーデンの9.8%、ドイツの14.3%、米国の18.8%を大幅に上回る。

 日本人男性が職場以外で人間関係をあまり構築してこなかったのが一因だと考えられている。

 世界各国の価値観を調べた国際プロジェクト「世界価値観調査」の結果からも、職場以外での人間関係が乏しい日本人男性像が浮かび上がる。17~22年に実施された最新の調査によると、「スポーツや娯楽団体」に「加わっていない」と回答した日本人男性の割合は83.1%だった。これはドイツの52.2%や米国の75%を上回る水準だ。同様に「芸術、音楽、教育団体」や「慈善団体」などに「加わっていない」日本人男性の割合は、いずれもドイツや米国を上回った。

 グラットン氏によると、人間関係が乏しいと、年を取ってから活力がわかなかったり、新たなキャリアに挑戦する機会が少なかったりして、生産的であり続けることが難しくなる。結果的に貧困に陥りかねない。経済協力開発機構(OECD)の集計によると、日本では高齢男性の貧困率が16.4%に達しており、OECDの平均10.1%を上回る。

 グラットン氏は、「日本の人々は無形資産が有形資産と同じぐらい重要であることを認識すべきだ」と言う。貯蓄や不動産といった有形資産にばかり目を向けるのではなく、人間関係をはじめとする無形資産を増やすことが、人生100年時代を豊かに生きるこつとなるという。

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