全4462文字
待ちに待った忘年会シーズンが到来。宴会が重なると多くの酒飲みが気にするのが、体重、そして脂質ではないだろうか。一般に、酒が好きな人ほど中性脂肪やコレステロールも高そうだと思われがちだが、実際はどうなのだろう。酒ジャーナリストで新刊『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』を出版した葉石かおりさんに解説してもらおう。
酒が好きな人ほど中性脂肪やコレステロールも高そうだと思われがちだが、実際はどうなのだろう。(写真:(c)taa22-123RF)

 年末年始のように飲み食いする機会が多い時期に体重計に乗ると、「ギャーッ!」と叫びたくなることがありますよね。さらに、もっと見たくないのが健康診断の血液検査の数値。中でも中性脂肪とコレステロール値はできたら「見なかったこと」にしたいと思う人も多いのでは?

 厚生労働省のホームページを見ると、「アルコール摂取量に比例して中性脂肪は増加します」と怖い説明があります。さらには「過度のアルコール摂取は脂肪肝の原因になる」とも……。

 とはいえ、恥ずかしながら、私は中性脂肪について正しく理解できているのか自信がありません。脂質が増えて、メタボになって、血液がどろどろになり、体に悪そう……というイメージはあるものの、中性脂肪よりコレステロールのほうが悪いようなイメージもあります。

 そこで今回は、酒と健康にまつわる最新の拙著『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』より、中性脂肪やコレステロール、そして脂肪肝について詳しい栗原クリニック 東京・日本橋の院長・栗原毅さんに聞いた解説を紹介します。栗原さんは、肝臓専門医で、「血液サラサラ」の名付け親でもあります。

コレステロールより中性脂肪のほうが問題?

 そもそも、中性脂肪とは何でしょう?

 「中性脂肪とは人の体に存在する脂質の一種で、身体活動のエネルギー源になります。体脂肪のほとんどが中性脂肪で、別名『トリグリセリド(TG)』と呼ばれています。主な働きは食べ物が足りないときのエネルギーの貯蔵庫、内臓の保持、体温を一定に保つなどさまざまです」(栗原さん)。

 なるほど、中性脂肪は体にとって重要な役割を果たしてくれるもの。素人にはコレステロールのほうが厄介で、問題のように思われますが……。

 「それは違います。中性脂肪はコレステロールより注意しなくてはなりません。中性脂肪は肝臓で作られるほか、小腸でも作られます。過剰になると小腸の血管から染み出て、周囲の内臓や血管に蓄積され、いわば内臓脂肪型肥満になります。

 また血中の中性脂肪が高くなると脂質異常症の一つ『高トリグリセリド血症』となり、血液がどろどろの状態になります。これによって血管が老化し、動脈硬化を加速させ、心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な疾患を引き起こす原因になるのです」(栗原さん)

 それでは、コレステロールの役割は何でしょうか?

 「コレステロールは、細胞膜や神経細胞を作る材料となります。さらに各種ホルモンや胆汁酸の材料としても使われています。コレステロールというと、何となく体に悪いものと思っている方が少なくありませんが、実は体にとってなくてはならない大切な存在です」(栗原さん)。