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再考を迫られる「適量は1日20g」

 また、同じ『LANCET』に2018年4月に掲載された英国の研究で、「死亡リスクを高めない飲酒量は、純アルコールに換算して週に100gが上限」という結論になっています。こちらの論文では、アルコール摂取量が週に100g以下の人では死亡リスクは飲酒量にかかわらず一定だったのに、週に100gを超えてから、150gくらいまでは緩やかに上昇し、それ以降は急上昇しているのです。

 残念なことに、死亡リスクを高めない飲酒量が週100gまでというのは、日本で「適量」と考えられている1日当たり20gよりも、週当たりで40gも少なくなっています。もちろん、一つの論文ですべてが決まってしまうわけではありません。しかし、「適量が1日当たり20gというのは多過ぎる。どうやら、健康に配慮するならば減らす方向が望ましい」という議論が、専門家の間で交わされていることは間違いないようです。

 少量の飲酒でも病気のリスクは上がるのだとしたら、これまで以上に、自分がお酒を飲むことに対するリスクについて考えなければならないでしょう。

 生きている限り、リスクを“ゼロ”にすることなんてできません。だからこそ、自分の体質やアルコール分解能力などを把握して、「どのようなリスクをどこまで受け入れるか」について意識したいところ。

酒を飲む機会が増える季節だからこそ、リスクについて改めて考えたい。(写真:(c) PaylessImages-123RF)

 そのために、ヒントとなる材料が、拙著『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』で解説しています。

 例えば、健康診断で血糖値や中性脂肪、尿酸値が気になる人は、どんなお酒を、どんなふうに飲めばいいのか。

 また、飲酒中に記憶がなくなる人、自分が酒乱ではないか、アルコール依存症ではないかと心配な人、がんなどの重大な病気とアルコールの関係が気になる人にも、ヒントとなる専門家の話をまとめました。

 さらに、それでもやっぱり飲みたい人にとっての「飲む前に飲む」切り札として、漢方薬や「酢酸菌酵素」などのニューフェースをご紹介しています。

「リスクを考えれば、飲酒量はゼロがいい」では、何とも味気ないですよね。ぜひ、自分なりの“最高の飲み方”を見つけたいものです!

葉石かおり著、浅部伸一監修『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』

お酒が好きな人は、「酒は百薬の長」という言葉の通りに、ほどほどに飲めば健康にいいと思っているかもしれません。しかし、最近では「少量でも病気のリスクが上がる」という研究が出てきて、専門家の間で議論されています。「そんなー!もうお酒は飲めないの?」と心配になったみなさん、大丈夫です!健康に与えるリスクを最小限に抑えつつ、お酒を楽しむ「最高の飲み方」をお教えします!

葉石かおり
エッセイスト・酒ジャーナリスト

1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオリポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー活動、酒肴(しゅこう)のレシピ提案を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。著書に『酒好き医師が教える もっと! 最高の飲み方』など多数。