同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、同性カップルらが5地裁で起こした訴訟で、東京地方裁判所は11月30日、「同性カップルが家族になる制度がないのは憲法に反する状態にある」と判決を下した。だが、まだ同性婚が実現したわけではなく、LGBTQ+(性的少数者)の人権が完全に保障されたわけではない。過渡期にある今だからこそ、民間企業の働きかけが鍵を握る。

 「婚姻の平等に前進!」

 11月30日午後2時40分、東京地方裁判所の前で高々と誇らしげに旗が揚がった。

11月30日、東京地裁の前で旗を掲げる原告と弁護団。現場では「違憲」の文字に拍手が湧き起こった
11月30日、東京地裁の前で旗を掲げる原告と弁護団。現場では「違憲」の文字に拍手が湧き起こった

 2019年、ある同性カップルらが国を相手に提訴した。現在の法律では、同性同士での婚姻は認められておらず、それを不服としての訴訟だった。法の下の平等を定める憲法14条や婚姻の自由を保障する憲法24条に違反しているのではないか。その判決が11月30日に下った。

 東京地裁(池原桃子裁判長)は、同性婚ができないことが憲法に違反していると断言まではできないとし、国に対する賠償請求は棄却した一方で、「何らの法的保護もないのは違憲状態」と認めた。

 だが、同性婚が法律上実現したわけではない。法整備は途上にある。同性カップルは相続権など婚姻に伴う法的利益はまだ受けられない。

LGBTQ+の権利保障は途上

 アジアでは19年5月に台湾で同性婚が認められた。22年11月には、シンガポールで男性の同性愛行為を違法とする刑法の廃止法案が可決された。だが、日本では同性婚の前に「戸籍」が立ちはだかる。

 戸籍法の制定は1871年と長い歴史を持つ。戸籍は日本人が生まれてから亡くなるまでの親族情報(出生や結婚、死亡など)について、登録・公証するための制度だ。現在の戸籍は、「一つの夫婦およびこれと氏を同じくする子」、または「配偶者のない者とこれと氏を同じくする子」を編成単位として作られている。

 過去にも戸籍法改正の動きはあった。2013年9月には最高裁判所が民法で非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする規定に違憲判決を出したものの、戸籍法の改正にまでは至らず、民法の同規定の削除に対応がとどまった。

 同性婚を求める声に対し、日本では法的な婚姻関係の代わりとして同性カップルなどのパートナー関係を保障する「パートナーシップ制度」を自治体が運用してきた。11月には東京都も開始するなど徐々に広がっている。だが、これらは国が認めた法的なものではない。

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