東京レインボープライド2019(写真:つのだよしお/アフロ)

 一般社団法人Marriage For All Japanー結婚の自由をすべての人に(MFAJ)は11月、同性婚や性的指向・性自認に基づく差別の禁止など、LGBT+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーに加え、性別を問わず恋愛対象になるパンセクシュアルなどの性的少数者)の権利を法制度として保障している国のほうが、国民1人当たりGDP(国内総生産)が高い傾向にあるとする「婚姻の平等が日本社会にもたらす経済インパクトレポート」の日本語版を発表した。同性婚の法制化と経済との関係を示すリポートは国内で初めてとなる。

 経済協力機構(OECD)加盟国のうち、同性の結婚を認めている国は35カ国中21カ国存在。一方、日本は同性婚が認められておらず、雇用で性的指向による差別を禁止する法制度も存在しない。2020年のOECDの報告書でも、性的少数者に関する法制度の状況は34位と後れを取っている。

 リポートは「LGBT+の人々に対する差別的な対応は、個々人のパフォーマンスを低下させ、GDPへ負の影響をもたらしかねない」などと指摘している。

 「雇用における性的指向の差別が禁止されている」「同性カップルによる共同縁組(養子縁組)が可能である」「同性カップルが婚姻することができる」「憲法で性的指向に基づく差別が禁止されている」などの項目について、法制度が1つ多く整備されると、整備される前に比べて1人当たりのGDPが1694ドル(約17万円、日本の場合は約4.2%に相当)高い傾向にあるとする米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)法科大学院の公共政策研究所の調査を基にしたデータが盛り込まれている。

 同性婚が法制化されているOECD諸国と比べて、日本は1人当たりGDPが約25%低く抑えられている傾向もあるという。

 また、同性婚が認められていない国でグローバル企業が事業を展開する場合、LGBT+の社員にも平等な福利厚生を提供するために、2014年には1社当たり最大で25万ドル(約2600万円)の負担が掛かっているとする米国の調査を紹介。  「LGBT+人材を日本に呼び込むときの障壁になり、多くの海外人材を引き入れて経済成長を実現しようとする日本の方向性と相反する」などと指摘している。

 経団連が2017年に公表した調査でも、「企業によるLGBTの取り組みが必要」と回答した企業のうち、約6割の企業が人材獲得のアピールにつながると考えていることが明らかになっている。

 LGBT総合研究所が2019年4~5月に約42万人を対象に実施した「LGBT意識行動調査」によると、全国20~69歳のうち10.0%の人が性的少数者に該当すると自認しているとの結果も報告されている。少なくない数のLGBT+の人たちが経済活動に参加していると推測される。

 LGBTインクルージョンな社会と経済との関連性はどのように考えられるのか。LGBT+の人たちを含め、誰もが能力を発揮しやすい職場づくりに取り組むEY Japanの貴田守亮COO(最高執行責任者)に尋ねた。

 前編、後編に分けて公開する。

続きを読む 2/3 目に見えない違いに意識を

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