区議会選挙に注目する意義

 来たる24日の日曜日には、香港の区議会選挙が行われる。逃亡犯条例改正反対に端を発する抗議活動が、よもやここまで続き、香港の「地方選挙」にすぎない区議会選挙が世界から注目されるほどのものになるとは昨年の段階では誰も思わなかっただろう。

 ここで簡単に香港の区議会選挙について説明しておこう。香港の区議会選挙は、東京都の区議会選挙とは異なることに注意が必要だ。最大の違いは香港に公式な「区」という行政単位があるわけではないことだ。香港の区議会は一定のエリアに属する複数選挙区で代表者を選出して構成するものではあるが、その地域の条例や予算を決めるわけではない。あくまで香港政府に地域からの要望を伝えアドバイスをする機関という位置付けだ。

 一つの選挙区は非常に小さく、地域によっては団地一つだけで一つの選挙区を構成する。そのため、バス路線の延長やATMの増設まで地域の非常に細かいことを公約として掲げる候補者も多くいる。今回の選挙では、地域とは直接関係のない「五大要求」の実現を公約として掲げる候補者も多いが、前述の区議会議員の位置付けを考えれば公約実現は容易ではないだろう。

何者かによって切り裂かれているが、バスの路線増便を訴える選挙の横断幕
何者かによって切り裂かれているが、バスの路線増便を訴える選挙の横断幕

 そんな区議会選挙が、なぜここまで注目されているのか。

 まず、区議会議員の選出は香港の「国会」に当たる立法会や、「首相」に当たる行政長官の選出とは異なり、(政府が議員資格・立候補資格の停止を行うことを除けば)完全なる普通選挙によって行われる。区議会選挙はある種の世論調査であり、逆に言えば抗議活動に対する民意も示されることになる。

 香港の行政長官選挙は、1200人の選挙委員によって行われる。その選挙委員にも区議の中から117人が選出される。極めて限定された形とはいえ、直接的にも行政長官選挙の選出プロセスに影響する。

 今回の区議会選挙では抗議活動に伴って有権者登録が広く呼びかけられた。したがって抗議活動に賛同する若者も多くが有権者登録をしている。比較的高い投票率が期待され、その選挙結果はこれまで以上に香港市民全体の意見を示すものと捉えられるだろう。

 ちなみに区議会選挙は、国籍に関係なく香港の永住権を持っていれば投票できるし立候補もできる。

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