「法の支配」から「中国式法治」へ

 今回の議員資格剥奪は、香港の法制度や司法制度を超越した中央政府の決定によって行われたものだ。議員資格が剥奪される要件は香港の法律でも定められているにもかかわらず、その要件や手続きについて今回の「決定」では無視されている。今回資格を失った4人の議員がどう「国家安全」を害したのかについて証拠は示されておらず、彼らは香港国家安全維持法(香港国安法)で起訴されたわけでもない。

 中央が香港法を超越して決定した場合、その決定で不利益を被る人々は聴聞の機会を奪われ、裁判で訴える機会も失う可能性が高い。「デュー・プロセス」の考え方のもと保護されてきた権利を失わせる可能性を有している。

 このような極めて曖昧な基準とプロセスで今回の「決定」がなされたことは、中央がどのような「決定」も行えると法曹界の非体制派の人々に思わせるのには十分だった。今回の「決定」を、香港国安法以上の香港の「法の支配」の破壊と見る法曹関係者もいる。香港国安法は香港基本法に基づく手続きを踏んだ上で香港に適用されたが、今回の「決定」はその手続きさえ踏まず、香港への「決定」を中国本土に対するものとほぼ同様に行ったからだ。

 キャリー・ラム行政長官は11月11日の記者会見で「私たちが最も考慮するのは法的根拠だ」と述べており、今回の議員資格剥奪も法律に沿ったものと主張している。まだ部分的ではあるが、香港の「法の支配」は着実に体制側が恣意的に運用する余地が大きい「中国式法治」に移行しつつある。

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