香港立法会の民主派議員4人の議員資格が剥奪された。その法的根拠に対して法曹界からも批判の声が上がっている。果たしてどのような法的根拠で今回の決定は行われたのか。また、それは香港の「法の支配」をどのように破壊するのだろうか。

 11月11日、香港政府は香港の国会に当たる立法会の民主派議員4人の資格を剥奪した。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で国家の安全に危害を加えたり、香港事務への外国勢力の介入を招いたりする者は直ちに立法会議員としての資格を失うと決定したことを根拠としている。

4人の香港立法会議員が資格を剥奪された(写真:AP/アフロ)
4人の香港立法会議員が資格を剥奪された(写真:AP/アフロ)

 本来、立法会の選挙は2020年9月に行われるはずだった。香港政府の審査により現職4人を含む12人が、同選挙における立候補資格を剥奪されている。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により香港政府が選挙の1年の延期を決定した。

 その際、全人代常務委員会は全ての議員の任期を1年延長すると決定したが、延期された立法会選挙で失格になった現職4人の任期については特に言及していなかった。そのため、4人も他の議員と同様に1年延期されたと考えられた。

 しかし、今回の全人代常務委員会の決定により4人の民主派議員の任期延長は認められないこととなった。決定は2020年9月に実施される予定だった立法会選挙前に香港政府が出馬資格を剥奪した議員に適用されるとされ、香港政府は4人の民主派議員の議員資格を剥奪した。

 これに抗議し、民主派議員の大半に当たる15人が辞職し、議会の大多数が建制派(体制派)議員で占められることになった。法廷弁護士(バリスター)の弁護士会である香港大律師公会(バー・アソシエーション)など香港の法曹団体、米国やEU(欧州連合)などの西側諸国は議員資格剥奪の決定を非難する声明を出している。

法的根拠が曖昧だという批判

 香港の法曹界からはこの「決定」は法的根拠が曖昧だという批判が出ている。

 例えば、香港大律師公会は今回の決定が「デュー・プロセス」の原則の侵害との見解を明らかにしている。デュー・プロセスとは「法に基づいて」適正な手続きを取ることであり、今回の決定はその原則を侵害していると批判している。

 事務弁護士(ソリシター)の弁護士会の香港律師会(ロー・ソサエティー)は、香港政府が人々の懸念に対し法的根拠に基づいて説明する義務があるとの声明を出している。律師会のメンバーである事務弁護士はクライアントと直接やりとりをするため、中国本土のクライアントに配慮して、通常は香港政府に対して厳しい批判をしない傾向にあるが、それでも声明を出さないわけにはいかなかったようだ。

続きを読む 2/3 全人代による「決定」の法的根拠

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