高級車ブランドは長年、米国で年末商戦に向けて広告を打ってきた。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の宣伝文句は「思い出に残る12月」だ。
しかし、今年は自動車メーカーもディーラーも、年末商戦向けの広告費を減らそうとしている。1年越しのサプライチェーンと生産の混乱で、自動車ディーラーの在庫は平常水準の3分の1程度に減っており、大枚をはたいて派手な広告を打っても意味がないからだ。
ゼネラル・モーターズ(GM)の高級車ブランド「キャデラック」のバイスプレジデント、ロリー・ハーベイ氏は「過去のような休暇シーズン向けの宣伝は行わない」と話す。自動車の供給が通常の3分の1に減っているのに「行うはずがない」という。

広告分析会社のEDOとパスマティクスの推計によると、GMは2019年にキャデラックのテレビ広告に1億600万ドル、デジタル広告に1640万ドルを費やした。
自動車だけではない。世界的なサプライチェーンの混乱は、電子製品から玩具、アパレルまで多数の分野で在庫不足を引き起こしている。アドビ・デジタル経済指数によると、オンライン通販の利用者が先月目にした「在庫切れ」の表示は20億件を超え、2019年10月の3倍以上となった。
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