高級車ブランドは長年、米国で年末商戦に向けて広告を打ってきた。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の宣伝文句は「思い出に残る12月」だ。

 しかし、今年は自動車メーカーもディーラーも、年末商戦向けの広告費を減らそうとしている。1年越しのサプライチェーンと生産の混乱で、自動車ディーラーの在庫は平常水準の3分の1程度に減っており、大枚をはたいて派手な広告を打っても意味がないからだ。

 ゼネラル・モーターズ(GM)の高級車ブランド「キャデラック」のバイスプレジデント、ロリー・ハーベイ氏は「過去のような休暇シーズン向けの宣伝は行わない」と話す。自動車の供給が通常の3分の1に減っているのに「行うはずがない」という。

高級車ブランドは長年、米国で年末商戦に向けて広告を打ってきた。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の宣伝文句は「思い出に残る12月」だ。しかし、今年は自動車メーカーもディーラーも、年末商戦向けの広告費を減らそうとしている。写真は2008年11月、コネティカット州グリニッジのレクサス販売代理店で撮影(2021年 ロイター/Mike Segar)
高級車ブランドは長年、米国で年末商戦に向けて広告を打ってきた。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の宣伝文句は「思い出に残る12月」だ。しかし、今年は自動車メーカーもディーラーも、年末商戦向けの広告費を減らそうとしている。写真は2008年11月、コネティカット州グリニッジのレクサス販売代理店で撮影(2021年 ロイター/Mike Segar)

 広告分析会社のEDOとパスマティクスの推計によると、GMは2019年にキャデラックのテレビ広告に1億600万ドル、デジタル広告に1640万ドルを費やした。

 自動車だけではない。世界的なサプライチェーンの混乱は、電子製品から玩具、アパレルまで多数の分野で在庫不足を引き起こしている。アドビ・デジタル経済指数によると、オンライン通販の利用者が先月目にした「在庫切れ」の表示は20億件を超え、2019年10月の3倍以上となった。