両薬ともに、米当局の承認はまだ得ていない。だが、12月には販売される可能性がある。

 ただ、米ベイラー医科大学のワクチン専門家、ピーター・ホテズ氏は「抗ウイルス薬だけに頼るのはサイコロを振るようなものだ。確かに何もないよりはましだが、イチかバチかの賭けになる」と語る。

米製薬大手はコロナ飲み薬に力を入れている。写真は米ニュージャージー州ローウェイのメルク社施設で2018年7月撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)
米製薬大手はコロナ飲み薬に力を入れている。写真は米ニュージャージー州ローウェイのメルク社施設で2018年7月撮影(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

 ロイターが取材した感染症専門家6人は、有効な治療法が登場することを一様に大歓迎しているが、ワクチンの代わりにはならない、という点でも意見の一致を見た。

 ジョージワシントン大学の救急医リーナ・ウェン氏は「ファイザーのニュースは素晴らしい朗報だ。ワクチンと併せて効果を発揮するが、代わりにはならない」と言う。

 ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は5日のロイターのインタビューで、ワクチン接種を受けない選択を行えば「悲劇的な間違いになる」と強調。「(新薬は)治療薬だ。不幸にも感染症を患った人々のためのものだ」とし「自らを守らず、自分自身と家族、社会を危険にさらす理由にはならない」と述べた。

早期投与の難しさ

 専門家らによると、体内でウイルスの複製を阻止する抗ウイルス薬は、感染初期の限られた期間に投与する必要がある。この点が、新薬だけに頼るべきではない主な理由の1つとなる。新型コロナウイルス感染症には複数の段階があるからだ。

 最初の段階で、ウイルスは体内で急速に複製する。しかし、新型コロナの最悪の症状の多くは第2段階で表れる。複製したウイルスが引き起こす免疫反応による現象だ。