新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」が来年以降のいつ、どこで「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」に移行するのか――。感染力の強いデルタ株の拡大が多くの地域で一服するとともに、世界中の科学者がこうした予測に乗り出している。ロイターが十数人の有力専門家を取材して分かった。

 専門家の見立てでは、パンデミックから最初に脱却する国は、高いワクチン接種率と感染者が獲得した自然免疫の効果が組み合わさっているはずで、米国、英国、ポルトガル、インドなどが該当しそうだ。もっとも専門家らは、新型コロナは依然として予測不能なウイルスであり、ワクチン未接種の人々に広がる過程で変異を続けると警告する。

 ウイルスがようやく獲得した免疫をすり抜ける形に進化してしまう、いわゆる「ドゥームズデー(終末)シナリオ」を完全に否定する向きも見当たらない。ただ、多くの国が向こう1年間にパンデミックの最悪局面を抜け出せるとの自信は、専門家の間で深まりつつある。

新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」が来年以降のいつ、どこで「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」に移行するのか――。写真はカラカスでワクチン接種を受ける生徒。10月撮影(2021年 ロイター/Leonardo Fernandez Viloria)
新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」が来年以降のいつ、どこで「エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)」に移行するのか――。写真はカラカスでワクチン接種を受ける生徒。10月撮影(2021年 ロイター/Leonardo Fernandez Viloria)

 世界保健機関(WHO)で新型コロナ対応を主導している疫学研究者、マリア・バンケルコフ氏は「今から来年末までの期間に、われわれはこのウイルスを制御し、重症者と死者を大幅に減らせると想定している」とロイターに語った。

 そうしたWHOの考えは、今後18カ月のパンデミックがたどる最も蓋然(がいぜん)性が高い経路を専門家と検討した結果に基づいている。来年末までにWHOが目指すのは、ワクチン接種率を世界の全人口の7割に高めること。バンケルコフ氏は「この段階に達すれば、疫学的に(今とは)非常に異なる状況になるだろう」とみる。

 WHOが10月26日に公表した報告書によると、世界のほぼ全ての地域で8月以降、新型コロナウイルスの感染者と死者は減少が続く。例外は欧州で、ロシアやルーマニアといったワクチン接種率が低い国や、マスク着用義務を解除した国・地域をデルタ株の新たな感染の波が襲った。デルタ株は、ワクチン接種率こそ高いが、極めて厳格なロックダウンを実施したため自然免疫がほとんど得られなかった中国やシンガポールなどでも感染者が増えている。

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